草笛光子、90歳 映画主演にエッセー本も出版 嘘つかず「そのまんま光子」が健康の秘密
6月21日から全国の映画館で上映される「九十歳。何がめでたい」(前田哲監督)は、直木賞作家、佐藤愛子(100)のベストセラーエッセーを映画化。90歳の俳優、草笛光子が主演し、ユーモアで包み込みながら、人生100年時代、いかに生きるかを考えさせる人間賛歌の喜劇となっている。 【写真5枚】年を重ねても気品の漂う佇まいと美しさを兼ね備えた草笛。茶目っ気たっぷりの飾らない素顔が魅力だ ■仕事でヒールも履いてます 90歳を過ぎて一度、筆を置いた佐藤が、編集者の説得で週刊誌に連載を始めると、これが読者に好評で書籍化したものが「九十歳。何がめでたい」だ。平成29年にもっとも売れた本となった。 映画は、その「九十歳。何がめでたい」と最後のエッセー集「九十八歳。戦いやまず日は暮れず」を原作に、「老後の資金がありません!」(令和3年)でも草笛と組んだ前田監督が、この人らしいユーモアと温かい視線で、草笛演じる佐藤と昭和世代の編集者、吉川真也(唐沢寿明)とのやり取りを軸に、再び「老後」の生き方を描く。 撮影中に90歳を迎えた草笛は「90歳。何がめでたい? そうね。あんまり、めでたかないですね」と笑う。大きく、よく通る声だ。 家族役の真矢ミキ、藤間爽子が手堅く周囲を固め、オダギリジョーや三谷幸喜が個性的な人物を演じ、くすりと笑わせる。 「よかったですよ。皆さんがいてくれると、楽でしたよね」と草笛は振り返るが、自身は出ずっぱりで、クライマックスには長い語りの場面もある。 「別にどうってことないですよ。せりふが多かったとも思わない。それがどうしたっていいたい。台本に書いてあるなら、私はそれでOK。しゃべって怒ることもできるし、踊ろうと思えば踊れます。歌おうと思えば歌えます。仕事でヒールも履いています」 さらりといってのけた。バランスボールや加圧トレーニングなど健康管理にはぬかりがないといわれるが、本人は「特別なことはやってないっつっちゃあ変ね。かといってさ、体操やウオーキングなんてこともやっていませんからね。噓はいわないです。わたしは、〝そのまんま光子〟だから。噓をつかないのが健康の秘訣かしらね」と笑った。 昭和8年、神奈川県出身。25年に松竹歌劇団に入団し、退団後「社長シリーズ」をはじめとする東宝喜劇に多数出演。33年開始の音楽バラエティー番組「光子の窓」(日本テレビ系)では司会をつとめ人気を博した。日本ミュージカル界の草分け的存在でもあり、「ラ・マンチャの男」「シカゴ」の日本初演に参加した。芸歴は74年を数える。