自宅の「屋根代」をケチった結果…10年ごとにメンテ費用「数十万円」が飛ぶ“出費地獄”の幕開け
外壁もケチるとメンテナンス費用がかかってしまう
昔は軒の長い家もよく見られましたが、最近ではデザイン性が重視され、軒の出が小さい家が多くなってきました。屋根の形状が外壁に負担をかけてしまうと、劣化はもちろんですが雨漏りする可能性が高くなります。 建物の外壁に貼る仕上げ用の板材を「サイディング」といいます。セメントと木質系成分を混合して製造された「窯業(ようぎょう)系サイディング」は国内で最も多く選ばれている外壁材で、住宅の約7割が窯業系サイディングだといわれます。 メリットは、何よりもデザインの種類が豊富で安価であることです。ブロック風、レンガ風、タイル風、木目風など、さまざまな柄があり、「こんなものがいいな」という希望があれば、ほとんどが窯業系サイディングで見つかります。 メリットの多い窯業系サイディングですが、メンテナンスは約10年に一度となります。初期費用は抑えられますが、メンテナンス費用を用意しておく必要がありますね。 ■初期費用は2倍以上だが、メンテナンス不要でセルフクリーニングもできる「タイル」 メンテナンスが不要で最も耐久性に優れているのは「タイル」です。窯業系サイディングと比較すると初期費用は2倍以上になりますが、高温で焼き上げられたとても硬い素材で1枚1枚に独自の風合いがあります。窯業系サイディングにもタイル風のものがありますが、本物は格段に高級感があります。 さらに、タイルは耐久性が高いといわれている素材です。汚れが目立ってきたら、高圧洗浄機などで水洗いをすればきれいになります。何十年も住み続けるとしたら、コストは窯業系サイディングと変わらなくなるということです。 外壁にこだわると費用は高くなりがちですが、汚れやキズ、ヒビ割れなどの劣化によって外観はどんどん古めかしくなってしまいます。 窯業系サイディングで汚れが目立ちやすい色を選ぶ場合は、雨で汚れを洗い流してくれる「親水性」を備えたセルフクリーニング機能のある外壁を検討してみるのもいいですね。 YouTube不動産 印南和行 株式会社南勝代表、一級建築士 住宅専門チャンネル「YouTube不動産」運営者 全国不動産売却安心取引協会理事長、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)。1972年、東京都生まれ。建築の専門学校を卒業後、建設会社で現場監督経験を積み、2011年に株式会社南勝を設立。これまでに1000件以上の住宅のインスペクション(建物診断)を行なうほか、不動産会社向けのコンサルティングを手がける。 「後悔のない家づくりをしてほしい」という思いから、2020年9月に立ち上げた住宅専門チャンネル「YouTube不動産」が「わかりやすくて参考になる」と大好評で、チャンネル登録者数9.91万人、総視聴回数3400万回を超える(2023年10月時点)。著書に『プロが教える 資産価値を上げる住まいのメンテナンス』(週刊住宅新聞社)がある。
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