<センバツ・頑張れ広陵!>「ラン」で追い込みだ! 伝統の練習メニュー /広島
◇きつい やばい 地獄 プレーのスピードを上げ、心肺機能や持久力を鍛える基礎トレーニングの「ランニング」。広陵には、代々受け継がれてきたランニングの練習メニューがある。【安徳祐】 ◇「ロータリー」 「ロータリー」。校内の駐車場から約100メートルの直線を走り、正門ロータリーを回って戻ってくるトレーニングだ。45秒以内に走り切らなければ「追加もう1本」と声がかかる。走力は野球の基礎と分かっているが、選手は「きつい」「やばい」と息を切らしながら全力で走っている。 ◇「世界陸上」 グラウンドの外野部分に白線で描いた1周100メートルや200メートルのトラックで競う「世界陸上」は、チーム対抗のリレー形式で行う。 7、8人のチームに分かれ、10組ほどが一斉にスタート。3位以内に入ればそこで終了だが、4位以下のチームは残って再び走る。競走は、最後の1チームが残るまで続く。「ゲーム性があると力が出る。プレッシャーがかかれば、仲間に迷惑をかけないように頑張るし、結束力も高まる」と中井惇一副部長は狙いを話す。 ◇「45秒」 選手が「地獄」と恐れるのは、40年以上続く伝統の「45秒」。ホームベースから三塁側に走り、レフトポール下で右に曲がってライトポールに向かい、ポール下からホームベースに帰る。約250メートルを45秒以内に戻るのが目標だ。 何周走るかは、その時のコーチや監督のさじ加減といい、1周で終わることもあれば10周以上続くこともあるという。選手は「集合がかかると『うわぁ』という気持ちになる」「いつ終わるのか分からないのがしんどい」という。 森川隼選手(2年)も「45秒」に苦しんだ。入部からしばらくは時間内に走れず「吐きそうになるし、ずっといやだった」と振り返る。 走り込むうちにタイムは少しずつ速くなり、半年後の10月には45秒以内に走りきれるようになった。入部時の50メートル7・5秒のタイムは、現在6・7秒に縮まって効果を実感し「精神力も鍛えられた。好きではないけど、長い伝統もあるし、なくなったら広陵じゃない」。 ◇試合で支えに 中井副部長は「ランニング一つだけでも、真剣に取り組めば技術、体力、精神面と幅広く鍛えられる。試合で追い込まれた時に力を発揮する支えになる」と話す。 3月18日のセンバツ開幕に向けて走り込む選手の足音が今日もグラウンドに響いている。