[特集/改革者クロップの軌跡 03]次はドイツ代表監督も!? 編集部座談:ユルゲン・クロップのこれから
オッズ一番人気はドイツ代表 代表監督の線はあるのか
前田「あと気になるのは、代表監督という可能性はあるのか」 及川「あるブックメーカーのオッズで一番人気だったのは、ドイツ代表なんですよ。次いでバルセロナ、バイエルン、ドルトムント、レアル、ミランと続いていました。オッズだけ見ると圧倒的にドイツ代表でしたね」 前田「去年の話なんだけど、『いずれそうなるだろう』みたいなことは本人が言っているんですよね。ナーゲルスマン体制でこれからEUROを戦うというときに、こんな話をするのもなんですが」 及川「ただ、クロップが代表監督向きなのかという議論はあるでしょうね」 飯塚「代表チームは活動期間が短いからね。短い時間のなかで、どれだけあの組織だったプレッシングサッカーを植え付けられるかは未知数だよね。一方で、どんな選手を代表に呼ぶかは興味がある」 前田「クラブチームだと自分好みの選手を必ず揃えてくれるとは限らないけど、代表ならある程度好みの選手を自分で選ぶことができますね」 飯塚「そうそう。だから、意外と自分好みの選手を呼んで、やりたいサッカーがすぐにできちゃうかもしれない」 前田「クロップのスタイルを知らない選手なんて、いないでしょうからね」 飯塚「実際、クロップのチームって選手が馴染みやすいイメージがある。もちろん能力があることが前提だけど、遠藤もそれほど時間はかからなかったしね」 及川「そのあたりは、やはり指導の上手さなんですかね。良いモチベーターで、戦略・戦術だけじゃない。選手をうまく焚きつけるみたいなところもありそうですし」 前田「だとすると、代表チームの監督をやるのは面白いかもしれない。近年のドイツ代表を見ていると、わりとパスサッカーの方に振ろうとしてうまくいかなかったみたいなところがあったじゃないですか。走って戦うクロップのスタイルの方が合っているような気もします。そう考えると、イングランド代表なんかも面白いかもしれない。自分が一番見てみたいのは、これかもしれないですね」 飯塚「サウスゲイトの後任か。リヴァプールの選手もいるし、他の選手も何度も対戦しただろうし、イングランド代表もクロップ流を理解している選手は多そうだよね」 前田「これまでのイングランドは、ホジソンにしろ割とオーソドックスなサッカーをする監督ばかりだった。タレントは豊富なんですけどね。そんなチームに色を加えてくれそうというか」 飯塚「選手たちも、サウスゲイトよりクロップの方が熱くプレイ出来そうだしね(笑)」 及川「飯塚さんは、どんなクロップの未来に期待しますか?」 飯塚「やっぱりブンデスの、バイエルン以外かな。ドルトムントが強かった時代みたいに、どこが勝つかわからないというシーズンを作ってほしい」 前田「まさにブンデスは今、そんな感じになってきていますよね。レヴァークーゼンが強くなり、シュツットガルトが強くなり……」 飯塚「そしてクロップが戻ってきて、バイエルン、レヴァークーゼンを含めて三つ巴なんて展開も面白そう。さらにクロップのチームには日本人もいて、みたいになるといいよね」 及川「イタリア好きの僕としては、セリエAを盛り上げる展開にも期待したいですけどね。落ち目とか言われることもありますけど、来季はCLに5チーム出られますし。そういった流れも含めて、イタリアをより勢いづけてほしい。ファンの熱さも他のリーグに引けを取らないですし」 飯塚「それこそトリノあたりで、ユーヴェを倒すなんてのも面白そうだよね」 及川「今季5位に入ったボローニャあたりも、ほとんど夢物語ですけど、スタイル的には面白いかもしれません。同じくハートが熱いミハイロビッチが監督をしていたり、走れる選手も多いですから」 前田「あとナポリじゃない? ちょっと今季はうまくいかなくなったけど、ファンは熱いよね」 飯塚「情熱の場所だからね」 及川「スタジアムの応援で大地が揺れて、地震計が揺れを記録したなんてのもありましたしね。カンフル剤としてクロップってのも面白いですよね」 前田「ちょっと取り留めがなくなってきましたけど、じゃあ最後に日本代表はどうなのかという話をしてみますか。ないない! という声が聞こえてきそうですが(笑)」 飯塚「若い選手には合うかもしれないよね。それこそU-23の代表なんて、サイドに突っかけるタイプもいるし、速さのある選手もいるし」 及川「これも夢物語ではありますが、見てみたいですよね。日本でも人気があるし」 飯塚「そうしたら、国内でJリーグをチェックするとかじゃなく、ほぼほぼヨーロッパにいながら選手をチェックするってことになるかもね。元韓国代表監督のクリンスマンはそれで叩かれたけど、日本ならそういう文句も出ない気がする。日本サッカー協会はデュッセルドルフに支部をもってるからね。新時代が来るかもよ。親善試合も現地でヨーロッパの国々とたくさんやって……」 前田「確かに。クロップのチームとならマッチメイクしたいと考えてくれるかもしれませんしね」 飯塚「また違った代表が見られるかもしれない。そしたら日本国内でやる試合がたとえ親善試合でも、プラチナカードになってお客さんもたくさん入るだろうね」 前田「まあ夢ですけど、夢を見ることは悪いことではないですからね」 ※電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)第294号、6月15日配信の記事より転載
構成/ザ・ワールド編集部