自衛隊独自の制度により「54歳」で定年退職…60歳・元航空自衛官が掴み取った「定年後」のキャリア【インタビュー】
自衛隊時代は“教える”、日本語教師は“教えない”
――日本語教師のほうは、外国語も喋れないといけないのではないですか? 竹丸:よく聞かれる質問ですが、そうではありません。外国人の方に向けた日本語教育には「直接法」「間接法」があります。直接法は日本語を日本語で教えていくものです。間接法は日本語を外国人の方の母国語で教えていくものです。 私が取り組んだのは直接法ですから、外国語が喋れなくても日本語を教えることができました。 ――話が前後しますが、航空自衛隊退職後、すぐに日本語教師になられたのですか? 竹丸:定年退職したのが7月でしたが、その年の秋口には420時間の養成講座が終わり、すぐに学校を決めて面接をしていただき、採用試験を受けた後、日本語教師として再スタートしました。 ただ、航空自衛隊時代とのギャップはすごくありました。航空自衛隊では「これはこうだ」「こうしなさい」と「教育=命令」だったわけです。 しかし、私が入った学校は「教えない授業をする」という学校でした。確かに、学習者の前に立って話すことは慣れているし、冗談を言って笑わせることも得意だったのですが、3ヶ月くらいしたときに校長先生に呼ばれてこう言われました。 「竹丸先生、教えない授業をしてください」と。その学校の学習者は留学生が大半で、2年そこそこで日本語をマスターしなければいけません。その後は1人で生活し、疑問があったら自分自身が日本語で周りの日本人に失礼のないよう尋ねたりしないといけなくなる。自分の力で切り抜ける日本語力が必要なのです。 それで、普段から学習者が自ら考える「教えない授業」をしているというわけです。でも「『教えない授業』となると何を教えたら良いんですか?」と尋ねたくなりますよね。すると「それは教えられない」と言うわけです(笑)。これは本当に難しくて1年半くらい悩みました。 結果的に、学習者を受け身にせずに、学習者同士が考え抜き、自分たちで答えを見つけるという「協働学習」という学習スタイルに行き着きました。 教師が一方的に何かを教えるものではなく、学習者同士でグループを作り、提示された課題を皆で日本語で話し、協力しながら解決するというスタイルです。この学校では後に常勤になり、3年勤めさせていただきました。
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