「治験」と「臨床試験」その違いとは?
エボラ出血熱やインフルエンザ……。病気の流行のニュースに触れるたび、不安を抱えている人も多いかと思いますが、これまでも人類はさまざまな病気を克服してきました。病気の治療法を確立するために欠かせないのが、治験(ちけん)や臨床試験(りんしょうしけん)です。新聞やニュースを見ていてもよく登場する言葉ですが、治験とは何か、臨床試験とは何か、両者の違いをわかっている人は意外と少ないのではないでしょうか。
治験は臨床試験に含まれる
治験は、簡単にいうと新薬の製造・販売の承認を得るために有効性や安全性を確認する臨床試験のことです。つまり、治験は臨床試験に含まれるものなのです。 治験をもう少し詳しく説明するなら、「新しい医薬品や治療器具などの有効性・安全性を確認し、厚生労働省から製造・販売の許可を得るために実施する治療を兼ねた試験」といえます。 いっぽう臨床試験の対象は、「新しい医薬品や治療器具」に限りません。すでに承認されている医薬品や治療器具を用いた試験も臨床試験に含まれます。大まかなイメージですが、臨床試験は「承認済みの医薬品や治療器具を組み合わせて、最良の診断法や治療法を確立する試み」と考えれば、わかりやすいのではないでしょうか。
治験の実施は届出が必要
かつて治験は、製薬会社が厚生労働省に申請を行って許可を得たあと、委託を受けた医療機関が実施するのが一般的でしたが、2002年の薬事法改正により、医師が自ら治験を行うこともできるようになりました。 委託を受けた医療機関が治験を行う場合も、医師が自ら行う場合も事前に厚生労働省への届出が必要となりますが、治験以外の臨床試験では多くの場合、事前の届出は必要ありません。 表にもあるように、この2点が治験と臨床試験を区別するもっとも大きな違いです。 (富宗治:Sherpa/編集プロダクション)