不妊治療の末、晴れて父親に。夫婦の絆は深まった信じていたのに、気づけばセックスレスに。一体なぜ?
昨年末、25年ぶり実施の『性機能障害の全国実態調査に関する報告』が発表されました。年齢別EDの有病率はなんと50歳以上で41.7%。また、性交頻度が1カ月に1回未満(1カ月間に1度も性交がない)を「セックスレス」としたところ、全体の70.4%が該当しました。 【データ】男性と女性の「更年期」に対する意識はどれくらい? つまり、日本は少子高齢化と同時に、恐るべきレス社会に突入していたのです。これは人口問題そのものであり、我々は少子化どころか無子化社会を生きていると言えます。 これらの社会課題を男性側の視点で捉え、執筆を続けるライター・山下あつおみ氏が、レスを抱えた夫婦問題についてレポートします。 【無子社会を考える#9】
思い描いていたようには子宝に恵まれず…
「今となっては、悩んだセックレスの時期は沢山の気付きを与えてくれたと思います」 このように語るのは東京都国立市在住のコウジさん(45歳/SaaS*企業勤務)です。 *利用者がインターネットなどを経由して、ソフトウェアやアプリを利用できるサービスのこと。 家庭はライターの妻42歳、娘5歳、1歳の4人家族。自宅は2階建の持ち家で暮らしています。コウジさんが結婚したのは10年前のことで、結婚当初は数年後には子どもがいる未来をなんとなく想像していたと言います。ところが、いざ妊活をしてみると、予想以上に子どもに恵まれない時期が長く続いたそうです。
乏精子症であることが発覚、絶望から妻が救ってくれた
「なかなか子どもに恵まれなくて、ある日、病院で検査をしたんです。すると、私の精子の数が平均よりも少ない乏精子症であることが分かりました。全く想像していなかったので、とにかく驚いたと同時にショックを隠せませんでした」 この診断結果はコウジさんにとっては青天の霹靂の出来事でした。しかし、落胆するコウジさんの希望となったのが奥さまだったのです。 「ショックからすぐに立ち直れたのは妻の支えがあったからです。具体的な治療方法としては、ホルモン療法を始めたことと、適度な運動とアルコール摂取を控えて生活習慣の改善に努めました」 運動することに苦手意識があるというコウジさんとは対照的に妻はスポーツ万能。そのため、妻についていく形で一緒にジョギングを始めることになったそうです。週末には公園で軽いランニングをすることで、コウジさんも徐々に運動の楽しさを感じるようになりました。この活動が2人の絆をさらに強めていったそうです。 「運動を通じて体調が改善されただけでなく、妻との関係もより良いものになり、これは思いがけない副産物でした」とコウジさんは微笑みながら話します。 そして、生活習慣の改善に努めた結果、数ヶ月後の検査で精子の状態にも少し改善が見られました。この結果がコウジさんにとって大きな励みとなり、治療への前向きな姿勢を保つことができるようになったのです。 「生活習慣の改善がここまで身体に大きな影響を与えるのかと、本当に嬉しい驚きでした」