英国、デジタル証券サンドボックスを来年1月から開始
期間は5年
英国が、来年から発効する新たな規制を導入する。これによりトークン化された証券のサンドボックスを、同国の金融監視当局が運営できるようになる。英国の制定法に関する公式データベースにて12月18日、この規制は公開された。 なおサンドボックスとは、新しいビジネスモデルやテクノロジーをテストするための安全な枠組みのことだ。 新たな規制である「2023年金融サービス・市場法(デジタル証券サンドボックス)規則」は2024年1月8日より施行され、イングランドおよびウェールズ、スコットランド、北アイルランドに適用されるという。 なお同規則は2029年1月8日をもって終了となる。 またデジタル証券サンドボックス(DSS)は、金融行動監視機構(FCA)と英国の中央銀行であるイングランド銀行によって運営される。 DSSは、取引所やデジタル資産企業にサービスを提供する仲介業者が対象となる。 具体的には、英国を拠点とする証券取引所、公認の中央取引所、証券集中預託機関、投資会社などがDSSへの参加を申請可能だ。 また同規制では、DSSの参加可否は、申請者の種類に応じて決定される「適切な規制当局」が決定すると記されている。 同規制の下で適格な金融市場事業体は、5年間の試行期間中、開発中の技術を使用して承認された活動を実施できる「サンドボックス参加者」として活動することができる。 またサンドボックスで利用できる商品は、有価証券、オプション、先物、差金決済取引、これら投資に対する権利・持分など。企業はDSSのもと、これらの従来の証券をデジタル化やトークン化するための分散型台帳技術(DLT)をテストすることが可能となる。 英国の財務省(HM Treasury)は今年4月、英国を世界的な暗号資産業界のハブにするための計画を発表しており、ステーブルコインの規制や企業のイノベーションを支援する金融市場インフラのサンドボックスの法制化を発表していた。 また国際決済銀行(BIS)とイングランド銀行は同月、分散型台帳技術(DLT)活用の決済システムをテストしていた。
髙橋知里(幻冬舎 あたらしい経済)