クマ襲撃事故、昨年は「9月以降」に急増…「命に別条なし」と報じられても、背景にある“深刻な”被害実情とは
「命に別条なし」をうのみにしてはいけない
クマによる人身被害を伝える報道では、「命に別条はなかった」と伝えられることが往々にしてある。しかし羽根田さんは、その言葉の背景にある“実情”もきちんと知るべきだと話す。 「取材を受けてくれた方の多くは『自分がクマの生息域に入り込んでしまったのだから仕方がない』と話していました。ところが、実際には障害が残るほどの重傷を負い、人生が変わってしまった方もいます。 クマは基本的に顔面を狙って攻撃してきます。四つん這(ば)いになって走ってくるとそれほど大きく見えなくても、目の前で立ち上がると人間の背丈くらいあって、その高さから顔面をめがけて鋭い爪を力いっぱい振り下ろしてくると、失明したり、場合によっては頭の一部がえぐり取られてしまうことだってあるんです。 たとえ命が助かっても、失明する確率がかなり高い。『命に別条はない』という報道をうのみにして、『助かる人も結構いるんだな』と、クマに襲われることを軽く考えてはいけません」 ネット上には、登山道近くにいるクマを、登山客が警戒心なく遠巻きに眺め、夢中で撮影しているような動画も多く見られる。もし攻撃されればその被害は尋常ではないということを、より多くの人が知るべきだろう。
弁護士JP編集部