「(落合さんの年俸)どうかと思う」原辰徳がまさかの苦言…落合博満“4億円超”に不満だった巨人ナイン「落合vs原」1994年オフの言い争い
原辰徳「どうかと思う」
オレ流は、このまま巨人に馴染んでしまうのか? 左足内転筋と左腹直筋の損傷は重傷で、12月9日に41歳の誕生日を迎えた四番打者の再起を危ぶむ声すらあった。落合頼みの打線から脱却しようと、球団は日本一になったにもかかわらず、長期ストライキ中のメジャーリーグから、ツインズの四番を打っていた大物シェーン・マックを年俸3億8000万円で獲得。ライバルの野村ヤクルトからはFAで広沢克己、さらには92年MVPのジャック・ハウエルも引き抜いた。皮肉なことに、落合獲得が日本一という最高の結果をもたらしたことにより、90年代中盤以降の巨人はさらなる大型補強路線へと邁進していくことになる。 落合は前年オフの移籍時に2年契約を結んでいるため、球界最高の年俸4億500万円は変わらなかったが、打率・280、15本塁打、68打点という巨人1年目の打撃成績は三冠王を3度獲得してきたバットマンにとっては屈辱的ですらあった。オフはプールでの歩行訓練や軽いウエート・トレーニングに励み、豪州V旅行も辞退して翌シーズンに備えた。 しかし、この図抜けた高年俸が意外な形で物議を醸すことになる。 12月1日からスタートした巨人主力選手の契約更改で保留者が続出。日本一のご祝儀査定はほとんどなく、ナインの不満を代弁する形で12月19日に交渉に臨んだ原が、記者会見でこう言い切った。 「僕自身は現状維持(1億1500万円)で仕方ないけど、パッと(FAで)来た人が、自分の何倍ももらうというのはどうかと思う。それに、こういう使い方をされて、チームに対する忠誠心をいわれても、優勝しようという気にならないよ」(週刊現代1995年1月14・21日号) 《記者会見の場で、5歳下の原辰徳に不満を言われた落合も黙っていなかった――。》 <後編に続く>
(「ぶら野球」中溝康隆 = 文)
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