[特集/究極・三つ巴戦線 01]どのクラブにも負けられない理由がある 驚愕レベルで拮抗するシティ、レッズ、ガナーズ三つ巴決戦
カギを握るのはヴィラとスパーズ 4位争いがトップ3にも影響与える
試合日程に目を戻すと、優勝争いを繰り広げる3チームの直接対決は30節のアーセナル×シティだけとなったが、いずれも4位アストン・ヴィラ、5位トッテナムとの試合を残している。この両チームとの戦いが、優勝争いの行く末を握っている可能性が高い。ヴィラもスパーズもひとつでも勝点を多く獲るべく、モチベーション高く挑んでくるはずだからだ。 シティとアーセナルは、今季のアストン・ヴィラに土をつけられている。ウナイ・エメリ監督は対戦相手の良さを消すことに長けた指揮官で、どちらも前半でまんまとリードを奪い、そのまま逃げ切ってしまった。決して主導権を握って戦うチームではないが、現在までの得点数はトッテナムやニューカッスルと並ぶ「51」。エースFWのオリー・ワトキンズはリーグ16ゴール10アシストと大暴れしている。ここぞの決定機を外さないチームで、攻めても攻めても点が取れない展開に持ち込まれ、そこからカウンターで一発……、というシナリオも十分に考えられる。 トッテナムは今季序盤に圧倒的な攻撃力で首位に立っていた。一時は離脱者の多さに悩まされていたものの、負傷していたMFジェイムズ・マディソンや、代表への招集でチームを離れていたFWソン・フンミン、MFイヴ・ビスマらが戻り、序盤の勢いを取り戻しつつある。28節では4位争いの直接のライバルとなるアストン・ヴィラを4-0と大差で叩いており、やはりその攻撃力は脅威だ。 4月20日にシティ戦、4月27日にアーセナル戦、5月4日にリヴァプール戦と、くしくも優勝を争う3強と3連戦を戦うことになっていて、ここでトッテナムがライバルたちを相手にどれだけのサッカーを見せるかがプレミア終盤の大きなヤマ場となりそうだ。特にアウェイで戦わなくてはならないシティ、アーセナルにとっては大きな壁であり、撃ち合いも厭わないアンジェ・ポステコグルーの超攻撃的なサッカーは優勝戦線に大きな狂いをもたらすかもしれない。 勝点1の取りこぼしが致命傷となるなか、上位勢との戦いでアーセナル、リヴァプール、シティがどんな結果を残すか。恐ろしいほどの高いレベルで展開されるプレミアリーグの優勝争いは、ひとつのミスで勝点を伸ばせなかったチームから脱落していく。そんなチキンレースの様相を呈してきた。 文/飯塚 健司 ※電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)第291号、3月15日配信の記事より転載
構成/ザ・ワールド編集部