[特集/究極・三つ巴戦線 01]どのクラブにも負けられない理由がある 驚愕レベルで拮抗するシティ、レッズ、ガナーズ三つ巴決戦
若手と新戦力のリヴァプールは決定力のなさがやや不安
28節シティ戦に引き分けて首位陥落となったリヴァプールは、すでにライバル2チームとの対戦を終えている。しかし、32節ユナイテッド戦、36節トッテナム戦、37節アストン・ヴィラ戦といった上位との戦いを残していて、FA杯、ELも勝ち残っている。カラバオ杯に続くタイトル獲得を目指すが、厳しい試合が続くシーズン終盤となる。 そうしたなか、あまりにもケガ人が多い。改めて整理すると、GKアリソン・ベッカーがハムストリングを痛めて復帰見込みは4月中旬となっている。DFジョエル・マティプは十字じん帯断裂で今季中の復帰は不可能。DFトレント・アレクサンダー・アーノルド、FWディオゴ・ジョタもヒ ザのじん帯を痛め、MFステファン・バイチェティッチ、MFチアゴ・アルカンタラは筋肉系のトラブル。MFカーティス・ジョーンズ、MFライアン・グラフェンベルフ、FWベン・ドークも戦線離脱している。 A・アーノルド、ジョーンズは3月中の復帰が期待されるが、その他の選手はもう少し時間がかかるかもしれない。ただ、本来ならチームが崩壊しかねない緊急事態だが、ユルゲン・クロップ監督のもと戦う9シーズン目であり、揺るぎないスタイルが植え付けられている。チャンスを得た選手たちが躍動しており、カラバオ杯に優勝したように、シティとの直接対決に引き分けたように、チーム力は決して落ちていない。 冷静で鋭い反応をみせるGKクィヴィン・ケレハーを守護神に、DFジャレル・クアンサー(21歳)、DFコナー・ブラッドリー(20歳)などが最終ラインで若者らしい外連味のないプレイでチームに勢いをもたらし、中盤ではいずれも今季加入したMF遠藤航、MFアレクシス・マクアリスター、MFドミニク・ショボスライが絶妙な距離感を保って強度の高いプレスで相手の自由を奪い、素早い攻撃へとつなげている。 選手の顔ぶれが昨季から様変わりし、リヴァプールの中盤はこれによって攻守両面で精度を増している。とくに、遠藤とマクアリスターは一緒にプレイする時間が増えてきたことで連携・連動するシーンが目立ち、シティ戦でも遠藤がプレスにいったときは後方をマクアリスターがカバーするなど意思の疎通が取れていた。 「(リヴァプールには)遠藤とマクアリスターがいた。パスをつなげる選手がいて、質の高いプレイもしていた」 これは試合後のペップ・グアルディオラ監督のコメントで、両名が中盤でいかに効いていたかを物語っている。 こうしてみていくと、リヴァプール優勝の鍵を握るのは前線の決定力かもしれない。エースFWモハメド・サラーは復帰したが、負傷明けでまだ万全ではない。FWダルウィン・ヌニェス、FWルイス・ディアス、FWコーディ・ガクポ、FWハーヴィ・エリオットのなかから先発3名を選ぶことになるが、決定力という面ではサラーに及ばない。 シティ戦もルイス・ディアスが決めていれば、ガクポが迷わずにシュートしていたらというシーンが散見された。27節ノッティンガム・F戦もなかなかゴールネットを揺らせず、終了間際にCKの流れからヌニェスが劇的な決勝点を奪っての勝利だった。 ケガ人が多いなか、アカデミー育ちの若い選手たち、今季加入した選手たちの力でリヴァプールは国内3冠(プレミア、FA杯、カラバオ杯)、さらにはEL制覇も狙っている。そのためには、過密日程を戦い抜かないといけない。ケガ人が少なく、試合数も少ないアーセナル。同じくケガ人が少なく、優勝経験が豊富なシティ。リヴァプールがプレミアリーグを制するには、ライバルに劣るこれらネガティブな要素を払しょくする力が必要になる。