「ご機嫌」マネジメント
「ご機嫌」は伝染する
それでは、リーダーが「ご機嫌」でいることには、どんな意味、意義があるのでしょうか? 次にご紹介する話は、エール大学で行われたビジネスシミュレーションの実験です。 実験の企画者は2つのグループに「全員にボーナスを支給する方法を決める」ことを指示します。ただし条件として、特定の社員にできるだけ多額のボーナスを確保しながら、グループ全体として最善の分配方法を検討するよう伝えました。 一つのグループには「不機嫌」でアグレッシブな気分を演じることを指示された俳優、もう一つのグループには「ご機嫌」で協力的な気分を演じることを指示された俳優が混じっていますが、メンバーは知りません。 結果として、「不機嫌」な役を演じた俳優のいたグループでは、メンバーは「不機嫌」に感染してしまい、話し合いは緊張し、終わる頃には全員が非常なストレスを感じていました。 一方、「ご機嫌」な俳優のグループでは、全員が明るい気持ちで納得感をもって話し合いを終えたといいます。 つまり、リーダーが「ご機嫌」であれば、職場の雰囲気も「ご機嫌」になり、社員の意識や生産性にポジティブな影響を与える可能性が高いということです。 そうであるならば、リーダーは、自身の気分にも責任を持ち、場の雰囲気を構築する当事者意識を持つ必要があります。 *** 冒頭の役員は、机の前に小さな鏡を置き、自分の表情の観察を始めました。自分の表情を意識することで、自分の顔が自然と緩んでくるのを実感したそうです。 そして、表情が緩むことで自身の気持ちにゆとりがでて、部下の話も以前に比べて穏やかな表情できくことができているとおっしゃっていました。 リーダーの気分が職場のムードに影響を与え、さらにそれが、組織の生産性そのものに影響を与えていきます。 ですから、リーダーは自分の「気分」に責任をもつことが必要です。 今日も「ご機嫌」でいるためには何ができるか、職場にいく前に自分に問いかけてみるのも、リーダーの大切な仕事の一つといえるかもしれません。 (日本コーチ協会発行のメールマガジン『JCAコーチングニュース』より、許可を得て転載)