高く売れたら「確定申告」が必要?「時計の譲渡」に税金がかかるケース、かからないケース【税理士が解説】
ただし「転売」なら確定申告が必要
ここまで個人が所有する時計を売却した場合の確定申告や納税の必要性についてご説明してきました。 しかし、複数の時計を転売のために仕入れ、売却をし、繰り返し利益を得ているような場合は、個人の生活用動産を売却しているのではなく、商売として時計売却を行っているとみなされます。転売目的の場合、30万円以下のジュエリー付きの時計やアンティークの時計でなくても、時計売却によって生じた所得は課税対象となります。 昨今ではネットオークションやフリマサイトなどを利用する人も増えているため、税務署ではインターネットを通じた売買にも目を光らせています。そのため、インターネットを介した取引で所得を得ているにもかかわらず、確定申告を行っていない個人に対して税務調査を行うケースが増えているのです。
税務調査で「転売で得た所得」がバレたら?
転売目的で時計を仕入れて売却をし、所得を得ている場合、所得が一定の額を超えたときには、確定申告が必要になります。もし、確定申告をしていなかった場合には、税務調査でバレる可能性があります。 ■時計売却で確定申告が必要になる所得額とは? 正社員やアルバイト、パートなどとして勤務しており、給与所得を得ている人が副業として時計売却を行っている場合、確定申告が必要になるのは、時計売却を含めた給与以外の所得が年間20万円を超えるケースです。専業主婦の場合は、利益が年間48万円以上に達すると確定申告をしなければなりません。 ■税務調査で無申告がバレたら…? 時計の売却で一定の利益を上げ、確定申告の必要があるにもかかわらず確定申告をしていなかった場合、税務調査で無申告がバレると、本来納めるべき税金に加え、ペナルティとして無申告加算税を課されるようになります。税務調査では、5年前までにさかのぼって調査される可能性があるため、無申告加算税も最大5年分課される可能性があります。令和5年分以降についての無申告加算税の税率は、納付すべき税額に対し、50万円までは15%、50万円超~300万円までは20%、300万円超える部分については30%です。 一般的に、税務調査の前には、税務署から税務調査に入る旨の事前通知が入ります。税務調査の事前通知を受ける前に自主的に期限後申告を行った場合は、無申告加算税の税率が5%に軽減されます。また、事前通知を受けた後に自主的に申告を行った場合も、令和5年分以降については、50万円までは10%、50万円超~300万円までは15%、300万円超える部分については25%に軽減されます。 つまり、時計売却によって年間20万円または48万円以上の利益を得ているにもかかわらず、確定申告をしていない場合は、税務調査で指摘される前に自主的に期限後申告を行った方が、納税額は軽減できるのです。確定申告の方法が分からない場合などは、税理士に相談することをおすすめします。