【後期高齢者医療】保険料はいくら?高額療養費制度の上限引き上げについても解説
後期高齢者医療保険の自己負担割合
後期高齢者医療保険の加入対象者となるのは、75歳以上の人または65歳から74歳で一定の障害の状態にあると後期高齢者医療広域連合から認定を受けた人です。 医療機関を受診したときや処方薬を受け取るとき、原則として自己負担割合は1割です。 しかし、昨今は少子高齢化による保険料収入の減少や医療費負担の増大などの影響により、所得によっては自己負担割合が2割または3割になります。 ・3割負担:現役並み所得者(同じ世帯の被保険者の中に住民税課税所得が145万円以上の方がいる場合) ・2割負担:一定以上所得のある方 ・1割負担:一般所得者等(同じ世帯の被保険者全員の住民税課税所得がいずれも28万円未満の場合など) なお、窓口負担割合が2割となる人は、外来の医療費が大幅に増えないように負担増加額が1カ月あたり3000円までに抑えられます。社会保険制度の改正により、急激に医療費負担が増える事態を回避するための配慮が行われています。
高額療養費の引き上げが検討中
医療費が高額になったとき、1ヶ月あたりの自己負担を一定額に抑えられる制度が「高額療養費制度」です。どの公的医療保険に加入していても、高額療養費制度が適用されます。 厚生労働省は、高額療養費制度の上限額を引き上げる議論を進めています。 高額療養費の上限額が引き上げられると、患者一人あたりの上限額が増える、つまり医療費の自己負担額が増えることを意味します。 特に医療機関を受診する回数が増える高齢者ほど、影響が出ると考えられるでしょう。高齢者人口が増えて医療費負担が増加すると、今後も保険料負担や窓口負担が増える事態は想定されます。 負担が増えれば、自由に使えるお金が減ります。健全な家計運営をするためにも、社会保険料や自己負担の割合がどのように変化するのか知っておくことは大切です。
まとめにかえて
高齢者の方の生活を支える後期高齢者医療制度ですが、昨今は負担増の制度改正が行われており、今後も行われる可能性があります。現役世代の負担を軽減し、社会保険制度の質を維持するためには、財源の確保が欠かせないためです。 日本は今後も少子高齢化が進んでいくと考えられる以上、負担増は避けられないでしょう。 政府ではどのようなことが議論されているのか、どのような改正が行われる予定なのか、最新情報を確認しましょう。
参考資料
・厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」 ・政府広報オンライン「後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?」 ・厚生労働省「医療保険制度改革について」
柴田 充輝