固まった背中や下半身が気持ちよ~くゆるむ…運動科学者が今でも欠かさず行う体操「ルースニング」とは何か
ショルダーブレイド ルースニング
(1)肩脊広緩法(けんせきこうかんほう) 肩甲骨を使って右腕をプラーンと前方に振り上げ、両腕を胸の前でクロスさせ、左肘の内側で右上腕をふわっと受け止めます。左手の指で右肩関節をつかみ、右腕を伸ばしながら、背骨と右肩甲骨の間が広がるように、身体をまず左へ20度、次に右へ20度傾けます。反対の腕も同様に行います。 (2)肩脊挟解法(けんせききょうかいほう) 両腕を後方に振りながら腰に回し、右手で左手首をふわっとつかみ取ります。左手の甲を右の手の平にのせ両肘を伸ばしながら、肩関節と肩甲骨まわりを「モゾモゾ」と言いながら動かしてときほぐしましょう。体幹は反らさないように注意深く行ってください。左右の手を入れ替えて同様に行います。 (3)肩甲モゾ 左右の肩甲骨を「モゾモゾ」と言いながら上下左右に動かす運動です。左右の肩甲骨の間を広げたり狭めたり、外回転、内回転させたりと、さまざまな方向に動かし、次に片方ずつ同じ動きを行い、最後に再び左右2つの肩甲骨を、今度は互い違いに別方向に動かします。
バックボーン ルースニング
(1)壁柱角脊椎通し(へきちゅうかくせきついとおし) 壁や柱の角に背骨の右側1~1.5cmあたりの部分(右脊側)を当て、寄りかかります。踵は角から20cmほど離し、その状態で身体を脊椎3個ぶんほど上下させましょう。4~5回行ったら当てる位置を徐々に下げていきつつ、こすりゆるめていきます。左脊側も同様に行います。
リブ ルースニング
(1)肋骨擦緩法 右手で左側の肋骨を擦ります。鎖骨のすぐ下から胸骨の際、大胸筋、大胸筋を越して脇までをていねいに擦りほぐしましょう。皮膚から始まり脂肪層、筋肉とゆるみを深めていき、肋骨と肋骨の間も指先の腹で擦ります。右側の肋骨も同様に行ってください。 (2)肋骨揺解法 右の鎖骨を上にあげると奥に肋骨の1番があります。そこを左人差し指と中指で擦り、胸椎1番につながっているのを感じながら、前後・左右・上下・斜めにモゾモゾゆすり、ときほぐします。右側を肋骨10番まで1段ずつ同様に擦り、ゆすってときほぐしたら、左側の肋骨も同様に行います。 (3)背合揺緩法(はいごうようかんほう) 身長が同じくらいの人と背中合わせに立ち、「モゾモゾ」と言いながらお互いに背中をゆすって擦り合わせ、ほぐし合います。背中を上、中、下の3段に分けて上段から順に行いましょう。できる人は、さらに背骨の左右でも分けて6分割で行うとより効果的です。 (4)肩包体手擦はがし(けんぽうたいしゅさつはがし) 右手をヘラ手(親指を除いた4本指の爪を一直線にそろうように立てた手)にして左脇から入れ、肋骨の上に乗っている肩包体(肩関節、肩甲骨、鎖骨とそのまわりの筋肉からなる部分)を、上へ向かってはがすように擦っていきます。肩包体を上下にゆすりながら行うのがコツです。右脇も同様に行います。 (5)肋体肩包体ずらし(ろくたいけんぽうたいずらし) 「ゆるゆる、ズルズル」と言いながら、肋体(肋骨)と肩包体を、左右に互い違いになるようにずらします。肋体が左へ行くときは肩包体が右へ移動する、といった具合です。次に前後に互い違いになるよう、肋体と肩包体をずらしましょう。
高岡 英夫