「北派兵戦死者の遺族に『口外しない』強制誓約…拇印押して嗚咽」
北朝鮮当局がロシア派兵で死亡した北朝鮮軍の遺族に「戦死証」を伝達しながら関連事実を口外しないという秘密誓約を要求したと、米国のラジオ・フリー・アジア(RFA)が先月30日(現地時間)報じた。 【写真】ウクライナ大統領が公開したロシア派兵北朝鮮軍の姿 RFAによると、北朝鮮当局は最近ロシアに派兵した軍人に死亡者が発生したことを住民に知らせず、遺族を呼んで「戦死証」を授与した。 戦死証とは戦争や戦闘訓練に参加して死亡した軍人に国家から伝達する死亡確認書をいう。戦死者の遺族は国家から優待物資が供給され、幹部事業などで特恵を受ける。 平安南道(ピョンアンナムド)の情報筋はRFAに「先月18日に价川市(ケチョンシ)党委員会から道党行事に参加するよう通知を受けて母と一緒に行ったところ、特殊部隊から軍服務をしていた弟の戦死証を受けた」とし「道党の幹部は『祖国の名誉を担って神聖な戦闘訓練に参加して死亡した』と説明し、遺族に戦死証を授与した」と伝えた。 情報筋によると、当時の行事に参加した遺族は約10人で、戦死者の大半は北朝鮮軍特殊部隊の暴風軍団所属軍人だった。 この情報筋は「遺族も子どもがロシアに派兵されて死亡したことを察したが、当局はこれに関するいかなる話も外部でしないという書類に拇印を押させ、嗚咽して帰ってきた」と話した。 平安南道の別の情報筋も「先月27日に徳川市(ドクチョンシ)党委員会も戦死証授与行事をした」とし「当局は遺族に党と祖国のために名誉のある戦死をしたという話だけが伝えられ、死亡の経緯は一切話さず、異例だった」と伝えた。 北朝鮮では国境地帯の軍人と特殊部隊の軍人が戦闘訓練中に死亡したり、建設部隊の軍人が現場事故で死亡したりすれば、所属軍部隊が遺族に「死亡の原因」と「場所」を知らせ、「死亡通知書」を伝えたり死亡の経緯により「戦死証」を授与したりしてきた。 しかし「今回は軍でなく党組織が遺族を電話で呼び出して『戦死証』を伝達し、死亡の場所と原因には全く言及がなかった」と情報筋は伝えた。 特に「年に1、2人だけが受けていた『戦死証』が今月だけで一つの地域で10人以上の遺族に授与されたため、派兵軍の死亡者はさらに多いのではという世論が広まっている」と強調した。 情報筋は「当局は『戦死証』が授与された遺族の動向を監視し、世論の遮断に取り組んでいる」とし、こうした当局の統制にもかかわらず「外貨稼ぎのために20代の若い軍人を捨て駒にしたという住民の公憤が強まっている」と話した。 北朝鮮は昨年10月、ウクライナと戦争中のロシアを支援するため激戦地のクルスク地域に約1万2000人の北朝鮮軍を派兵した。 米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官は先月27日のブリーフィングで、最近の7、8日間にクルスクで北朝鮮軍の1000人以上が死傷したとし、「我々が目撃するこうした人海戦術はそれほど効果的でない」と明らかにした。