【ドイツ】独政府、新たな兵役制度承認=意向調査実施
ドイツ政府は6日、ピストリウス国防相が提案した新たな徴兵案を閣議決定した。18歳に達した男性に、兵役に対する意欲や能力についてのアンケートに回答する義務を負わせる制度で、2030年までに約2万人の増兵を目指す。ドイツ軍は深刻な兵士不足に陥っており、若者への入隊促進が急務となっている。 新たな制度では、アンケートを元に4万~5万人を徴兵検査に呼び、その中から5,000人に、少なくとも6カ月の基礎的な軍事任務に従事するよう促す。希望者は、最長23カ月まで勤務できる。新兵の給与は少なくとも月額1,800ユーロで、状況によっては200ユーロ上乗せされるという。女性にもアンケートを送付するが、回答は義務ではない。ドイツでは来年、約30万人が18歳を迎える。 DPA通信によると、法案は連邦議会(下院)と連邦参議院(上院)を通過した後、来年5月頃に施行される可能性がある。 連邦軍の兵員は現在約18万人。政府は30年までに20万3,000人に増員し、さらに6万人の予備兵を確保する考えだ。ロシアのウクライナ侵攻や中東紛争の影響で国際情勢が不安定化する中、ピストリウス国防相は北大西洋条約機構(NATO)の軍拡目標達成には、ドイツから約46万人の兵士が必要だと強調している。 ドイツは徴兵制を廃止していないが、11年から停止している。当時は、18歳以上の男性に対し最低6カ月、軍へ入隊するか、兵役を拒否する場合には社会福祉施設などでの非軍事役務を課していた。 ピストリウス国防相はかねて、同案について11年に停止したかつての徴兵制を再開するのではなく「新たな兵役モデル」になると強調し、「適性と動機に基づいて、主に自発的に選択するものだ」と説明。徴兵制復活への理解を求めていた。