米新興EVフィスカーが破産申請、不具合続きのSUVで販売低迷
(ブルームバーグ): 電気自動車(EV)メーカーの米フィスカーが、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。唯一の商品であるスポーツタイプ多目的車(SUV)「オーシャン」は数カ月前から生産が止まっていた。
17日にデラウェア州の裁判所に提出した書類によると、資産は5億-10億ドル(約790億-1580億円)、負債は1億-5億ドル。
フィスカーは新型コロナウイルス禍の特別買収目的会社(SPAC)ブームに乗って、アポロ・グローバル・マネジメントがスポンサーを務めるSPACと合併。2020年に上場を果たした。
EV業界は全般的に販売減速の逆風に直面しているが、フィスカーの挫折は自ら招いた側面も大きい。オーシャンの生産は予定通り2022年11月に開始されたが、当初はクルーズコントロールなどの基本的な機能がなかった。顧客には無線によるソフトウエア更新で翌年に確約した機能を提供すると伝えていた。
だが、ソフトウエアの不具合により、生産に数カ月の遅延が生じ、フィスカーはその後、業績見通しの下方修正を度々余儀なくされた。今年2月には、影響力のある著名ユーチューバーのマルケス・ブラウンリーさんがオーシャンについて「これまでレビューした中で一番ひどい車」と酷評。このこの動画は570万回余り再生された。
同社は3月、「大手自動車メーカー」と投資や共同開発提携の可能性を今も交渉していると述べていたが、最終的に合意には至らなかった。それに先立ち、ブルームバーグは関係者情報に基づき、フィスカーが日産自動車と交渉中だと報じていた。
新興EVメーカーでは、フィスカーの他、ローズタウン・モーターズ、プロテラなども破産に追い込まれている。
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