熊本県民総合運動公園のアクセス改善 県が実証実験の最終報告書を公表 シャトルバス運行など公費負担多すぎ?
熊本県民総合運動公園(熊本市東区)のアクセス改善に向け、2023~24年度に実施したシャトルバス運行などの実証事業について、県は「一定の効果があった」と結論づける最終報告書をまとめた。観客の2割弱が利用し混雑緩和につながった一方、県が運行経費として計約610万円を拠出。県議会からは公費負担の在り方に疑問の声も上がっている。 運動公園は公共交通機関によるアクセス手段が少なく、自家用車での来園が多いことから、周辺道路の渋滞が課題となっている。 県の実証事業は23年2月~24年11月、サッカーJ2ロアッソ熊本戦などの大規模イベントを対象に展開した。運動公園から離れた駐車場に車を止め、バスでピストン輸送する「パークアンドバスライド」や、JR熊本駅などからのシャトルバス運行を計71回実施した。 報告書によると、ロアッソ熊本の1試合平均で、パークアンドバスライドは1013人(観客全体の13・4%)、シャトルバスは400人(同5・3%)が利用したという。
シャトルバスは、県が運行を委託した事業者が往復の運賃として千円を利用者から徴収。県は運行経費から運賃収入を差し引いた約120万円を負担した。パークアンドバスライドの利用者負担はなく、県が経費全額(約490万円)を拠出した。 10日にあった定例県議会の高速交通ネットワーク整備推進特別委員会では、自民党県議団の前川收氏(菊池市区)が、「費用のほとんどを税金で賄うというのはいかがなものか。利用者やイベント主催者といった受益者の負担もある程度必要だと思う」と指摘した。 県空港アクセス鉄道整備推進課は「事業の必要性は認識した」として、25年度も大規模なイベントで観客のバス輸送を検討する方針。ただ、「今後は費用圧縮の方法や、負担の在り方の検討が必要だ」とした。(嶋田昇平)