新幹線延伸や新型車のデビュー、そして消えた車両や社名も 鉄道業界の2024年を振り返る
北海道の「本線」と、2つのユニークな路線が廃止に
北海道では、根室本線の富良野~新得間が、3月31日の運行をもって廃止されました。 函館本線と接続する滝川駅を起点とし、道央の帯広、道東の釧路や根室を結んでいた根室本線は、かつては滝川~富良野~新得間にも、さまざまな優等列車が運転されていました。しかし、札幌圏と道央・道東を短絡する石勝線(南千歳~新得間)が1981年に開業すると、その地位は低下。滝川~新得間は普通列車が主体のローカル線となってしまいました。さらに、2016年には台風の被害を受け、東鹿越~新得間(石勝線との重複区間を除く)は、これ以降列車が運転されることはありませんでした。 そして、2024年には他にも、特徴的な2つの鉄道路線が廃止されました。 まず一つは、5月1日に廃止された、広島短距離交通瀬野線。「スカイレール」の愛称を持っていた路線です。モノレールとロープウェイを組み合わせたようなシステムを採用しており、山陽本線の瀬野駅と、同駅付近の丘の上につくられたニュータウンを結ぶ路線でした。このスカイレールシステムは、他の軌道系システムよりもさまざまなメリットがある、とされていたのですが、結局はこの路線で採用されたのみ。1998年に開業した同線は、5月に約26年間の歴史を終え、スカイレールというシステム自体も終焉を迎えました。 もう一つが、11月30日の運行終了をもって廃止された、立山トンネルトロリーバス。見た目はバスですが、架線から電気を得て走るトロリーバスは、狭義の存在としてはこの路線が最後に残ったものでした。かつては東京や大阪などの都市部で運行されていた日本のトロリーバスの歴史は、2024年で終止符が打たれました。ただし、広義の存在としては、愛知県の「ゆとりーとライン」が法律上はトロリーバスとして扱われており、2025年以降も残ることとなります。
新型「つばさ」がデビュー! その他も多く登場した、2024年の新型車両
新幹線では、山形新幹線「つばさ」用の新型車両E8系が、3月のダイヤ改正にあわせてデビューしました。E3系を置き換えるために開発されたE8系は、「こまち」用のE6系がベース。最高時速は300キロ(E6系は時速320キロ)に抑えられたものの、最高時速275キロのE3系よりはスピードアップを実現しています。E8系は、2026年までにE3系を順次置き換えるため導入される予定です。 特急型車両では、JR西日本の273系が、4月に営業運転を開始しました。「やくも」で使われてきた381系を置き換えるための車両で、JR西日本では久々の振り子式車両となりました。特急型の譲渡車両では、JR東海のキハ85系が、KTR8500形となり、WILLER TRAINSで3月に運転を開始しています。 また、優等列車で使われる車両としては、阪急電鉄で2300系がデビューしました。同形式のデビュー日である7月21日、阪急では同社初の座席指定サービス「PRiVACE」を開始。この2300系と、新造の専用車を組み込んだ9300系(2024年12月現在は一部編成のみ)で提供されています。 観光列車では、JR東日本の「SATONO」とJR九州の「かんぱち・いちろく」が4月に、JR西日本の「はなあかり」が10月に、それぞれデビューしました。いずれも既存の車両を改修したもので、「SATONO」はHB-E300系「リゾートあすなろ」、「かんぱち・いちろく」は「いさぶろう・しんぺい」用キハ40系およびキハ125形、「はなあかり」はキハ189系が改造元です。 一般型車両でも、新型が次々と登場しました。10月には、近畿日本鉄道の8A系と、仙台市営地下鉄の3000系がデビュー。11月には、熊本市電の2400形と、福岡市営地下鉄の4000系が、それぞれ営業運転を開始しました。譲渡車両でも、上毛電気鉄道の800形(元東京メトロ03系)が2月に、銚子電気鉄道の22000形(元南海2200系)が3月に、それぞれ営業入りしています。