「決めるのは患者さんかもしれません」キャリア38年現役医師が語る“名医”との出会い方の真意
名医を決めるのは、患者自身
名医はめったにいないように見えるかもしれませんが、患者さんからよく学んでいる人間性に優れた医者は、けっこういろいろなところにいるかもしれません。つまり、名医はどこにでもいる可能性があります。 私も長年医者をやってきましたので、たくさんの医師を見てきました。倫理観の欠如した医師というのを見たことがないわけではありませんが、そういう人は本当に例外的です。ほとんどすべての医師は、誠実さと責任感を持っています。 ただ、ときどきコミュニケーションの上手でない医師を見るときがあります。そういう人は、自分の人間性が患者さんに伝わらなくて損をしているなと感じます。患者さんから信頼を得るためにも、医者はコミュニケーションの力を付けておくべきです。 名医というのは、患者さんの側からは簡単に分からない? ええ、そうかもしれません。出版物を探すと名医ガイドとかが売られていますし、週刊誌なども名医の特集などがありますよね。でもそういうのって、手術がうまいとか、手術の数が多いとか、稀な病気をたくさん診たとかの「数」を指しているにすぎないのです。 その数に対して「質」はどうなっているか。そして患者さんに相対するときに、「誠実」で「責任感」があるか。こういうものは、本や週刊誌では分からないと思います。 でも患者さんというのは、医者をよく見ており、その人間性を知らず知らずに見抜いています。結局、その医者が名医かどうかを決めるのは患者さんかもしれません。読者のみなさんは、あなたなりの名医を見つけてください。かかりつけの医者でも病院の医者でも、名医の基準は同じです。 最初の医者選びは、相性のいい医師でいいでしょう。でも、あなたの人間性をぶつけたときに、人としてちゃんとした反応が返ってくれば、その医者はあなたにとって十分名医だと思います。
弁護士JP編集部