東京みやげの最高峰。夏目漱石もハマった銀座『空也』の「空也もなか」はなぜ令和の今も変わらず美味しいのか【和菓子に恋して】
●銀座の老舗和菓子店『空也(くうや)』といえば、明治の頃から夏目漱石ら文豪や歌舞伎役者たちにも愛された“東京遺産”とも呼べる店。その魅力を改めてご紹介します。
『空也』の代名詞ともいえる「空也もなか」といえば、東京の名品土産としても必ず名前があがり、予約でしか買えない日もあるほどの人気。明治から令和に至るまで、愛され続ける美味しさの秘密を5代目の山口彦之さんに伺いました。 夏目漱石も愛した空也の絶品もなかの画像を見る 明治17年、上野・池の端で開業した『空也』。しかし、戦災のために店が焼失し、現在の銀座6丁目、並木通りに移転したのは昭和24年のこと。時代ごとの素材の違いによって味わいに微妙な差はあっても、いつ食べても美味しいことだけは変わりません。 なかでも「空也もなか」は、予約がほぼ必須の入手困難な人気商品。朝から餡を仕込み、1日8000個ほど作ってもあっという間に完売してしまうからです。
1日8000個つくられるもなかはあっという間に完売
「朝早くから作って、その日のうちに売る。こんなバカな商売しているところ、他にないでしょう」。たまたま出くわした4代目がそう、話してくれました。しかし、その姿勢こそが安定した美味しさを守る秘訣なのでしょう。
もなかは、焦がし皮。これに餡がたっぷりと入っています。餡は、北海道・十勝の指定農家で作られるあずきと白ザラメ、水飴を絶妙なバランスで配合し、4時間ほどかけて炊きあげます。どこか懐かしさを感じるほっこりした餡は、すっきりとキレのある甘さで程よい余韻を残します。 創業当初、焦がし皮ではなかったというもなかの皮は、「ある日、9代目団十郎を訪問した際に、火鉢でちょっと焦がして食したものが美味しかったため、それをヒントに今の“焦し皮”になった」といわれています。
何度食べても飽きのこない絶品
箱を開けると、整然と並ぶ“もなか”の佇まいに見惚れます。ふわっと焦がし皮の香りが漂い、その香ばしさと優しい甘さの餡が口の中で絶妙に絡み合います。手の平にすっぽり包まれる大きさもあり、もう一つ…とつい、手が伸びてしまいます。 もちろん、添加物や保存料は一切なし。自家用箱と贈呈用向きの化粧箱入りがあり、10個から購入可能。もちろん、事前予約がオススメ。
銀座に出かけ、風情あふれる『空也』の門をくぐって、ここでしか出会えない名品を手に取る。少し手間をかけて買った「空也もなか」を味わう瞬間の感慨もひとしおです。 ●SHOP INFO 空也(くうや) 住:東京都港区銀座6-7-19(並木通り) TEL:03-3571-3304 営:10:00~17:00(土曜~16:00まで) 休:日曜・祝日