曲がる太陽電池「ペロブスカイト」…開発で先行する積水化学工業社長「25年の事業化を進める」
<積水化学工業>
15大財閥の一つ、「日窒コンツェルン」のプラスチック部門が前身で、セロハンテープやポリバケツの普及に寄与した。1963年に日本の製造業として初めて米国に進出し、住宅や医療、自動車関連など、多角化も進め、分社化した住宅部門が積水ハウスにあたる。2024年3月期の売上高は1兆2565億円。
日本発、世界に開発先行
ペロブスカイト太陽電池は、桐蔭横浜大の宮坂力・特任教授が発表した論文から生まれた。日本発の技術として国内メーカーが開発で先行し、実用化にしのぎを削っている。調査会社の富士経済は、世界の市場規模は2040年に2・4兆円に達すると見通す。 積水化学工業が手がけるフィルム型は軽くて薄いため、重量制限などで設置が難しかった場所への展開が期待されている。耐用年数や変換効率にも優れているとされる。パナソニックホールディングスは、建材と一体のガラス型の開発を進めている。28年までの事業化を目指し、神奈川県内のモデルハウスで実証実験を行っている。
一方、現在主流となっている結晶シリコンを使った太陽光パネルは、コスト競争力に勝る中国製品が普及し、技術的優位があった日本製が 淘汰(とうた)された。教訓を生かし、政府は、早期の量産化のサポートや知財の保護などを進めており、海外への輸出も加速させる方針だ。価格競争だけにならないビジネスモデルを確立し、勝ち筋を見いだす戦略が欠かせない。(松本)