曲がる太陽電池「ペロブスカイト」…開発で先行する積水化学工業社長「25年の事業化を進める」
現在、石油ゼロのプラスチックの開発に向け、住友化学や資生堂などとの協業を進めている。そういった製品に価値を認め、お金を使っても良いと思う社会に応えられる開発に取り組んでいきたい。 個別企業としても、「サステナビリティー貢献製品」と名付けて見える化した取り組みが、社員のやりがいやESG(環境、社会、ガバナンス)に配慮した組織の推進力につながっている。
脱炭素止めない
私が中心となってまとめた現在の中期経営計画では、樹脂製の畳や太陽光発電の余剰電力売買サービスといったサステナビリティー貢献製品の売上高目標として25年度の1兆円超達成を掲げた。その根底には「社会に必要とされない会社は残らない」という強い思いがある。 実際、強度や耐熱性があり、食品包装から絶縁材まで幅広く活用されている「ポリエチレンフィルム」や配水管などに使われる耐食性に優れた「エスロンパイプ」など、我々は、イノベーション(技術革新)で社会課題を解決し、成長してきた会社だという自負と実績がある。
米国の次期大統領に共和党のドナルド・トランプ氏が返り咲くことになった。気候変動対策に後ろ向きとされており、もしかすると一時、脱炭素や環境配慮の流れが後退するのかもしれない。 しかし、長い目で見れば、脱炭素に向けた世界の潮流は止められるものではないし、決して変えるべきではない。サステナビリティーに配慮しない企業は結局、国際的なハンデを負うことになり、生き残るのは難しいだろう。
かとう・けいた
1980年京大工卒、積水化学工業入社。工場の技術開発課からスタートし、成長分野の高機能プラスチック事業に長く携わった。米国やドイツ駐在など海外経験も豊富。専務執行役員経営戦略部長などを経て、2020年から現職。大阪府出身。66歳。
ペロブスカイト太陽電池
日本発の技術による電池で、軽量薄型で、曲げることもできる特性がある。ビル壁面からスマートフォンまで、設置・搭載場所の大幅な拡大が期待できる。主原料となるヨウ素の生産量は、日本が世界2位で、国も、経済安全保障の観点から実用化を後押ししている。