巨人722日ぶり単独首位 直近6試合20打数1安打の岡本和真が「全試合出場する人のやるべきこと」実践で2打席連発
◆JERA セ・リーグ ヤクルト3―4巨人(11日・神宮) 巨人がヤクルトに逆転勝ちして今季2度目の4連勝。22年5月20日以来、722日ぶりに単独首位に浮上した。1点を先行されたが、4番・岡本和真内野手(27)が2回に同点6号ソロ、4回には7号勝ち越し2ランと2打席連発。菅野智之投手(34)は6回0/3を2失点で開幕から無傷の4勝目を挙げ、球団最速での1500奪三振も達成した。チームは3カード連続の勝ち越しで、今季最多タイの貯金4とした。 【動画】阿部監督が岡本和真と並んでバッティング 悠然とダイヤモンドを一周した岡本和はベンチへ戻ると、脱帽した阿部監督に最敬礼された。それほどまでに価値が詰まったアーチだった。2打席連発となる勝ち越しの7号2ラン。22年の5月20日以来、722日ぶりの単独首位へといざなった。「風にも助けられてホームランになって良かったです」。7試合ぶりの一発をかみ締めた。 同点の4回1死一塁。1―2からの5球目、小川の外角低め直球に迷うことなく踏み込んだ。すくい上げた白球は左中間席へ着弾する決勝2ラン。直近6試合で20打数1安打と苦しんでいた主砲の働きに、指揮官は「崩されてもね、ああやって飛ぶんだからね。いいきっかけになってくれればいいなと思う」とさらなる上昇に期待を込めた。 不振のトンネルにいた。3戦連続無安打で、試合前時点で打率は今季最低の2割6分4厘に低下。「迷惑をかけないように早く打ちたいと思っていた」。試合前の打撃練習では普段は胸の高さに設定して止まったボールを打つ置きティーでは、ベルト付近に下げて行うなど試行錯誤。二岡ヘッド兼打撃チーフコーチに助言をもらいながらフォームを確認してきた。 念入りに準備を重ねた中で迎えた1打席目で吹っ切れた。2回先頭。2ボールから小川の外角カットボールを左中間席へ運んだ。自身4試合ぶり13打席ぶりのヒットが、同点の6号ソロ。「最高の結果になって良かったです」。復調の号砲を鳴らし、23年8月6日広島戦(マツダ)以来で、今季初の1試合2発。たまりにたまったうっぷんを晴らした。 不振の時ほど真価が問われると分かっていた。打率が3割を超え好調だった開幕直後の4月上旬のことだった。そんな時でも岡本和は冷静に先を見据えていた。 「打てなくても次の日に試合は来るので、明日、どうやったら打てるのか考えることが大事。引きずってもチームに迷惑をかけるだけなのでその時にしっかり反省して、次の試合を全力を出すことが全試合出場する人のやるべきことだと思う」。長いシーズンを戦う中で調子の落ちる時期は必ず訪れると覚悟を持っているから慌てることはなかった。 苦しんでも逃げる場所はない。試合の振り返りをした上で、その日の夜には映像などを見ながら次の試合の先発投手を研究する。その姿勢を貫いているからこそ差し込んだ光だった。 チームは4連勝で首位に浮上。毎年、母の日に「プレゼントを渡している」という心優しき主砲が、アーチを描けば6戦6勝だ。「ここから打てるように頑張りたいです」。岡本和が打てば負けない。頼りになる4番が戻ってきた。(宮内 孝太) 【堀内恒夫Point】センター方向への意識で生まれた 4番の差だったな。岡本和の2本のアーチ。特に2本目はお見事。投手の小川にすればそれほど悪い球ではない。外角からやや中に入ったけど、低めに来ている。左に引っ張ったら、よくて左前安打だったろうな。センター方向へ打ち返す意識の強さが左中間スタンドへの一発に結びついた。岡本和は器用だから、調子がいい時も、悪い時も、ボールを追いかける。この試合のような好調な時ばかりではないことを、岡本和自身が自覚して打席に立つことを勧める。見逃す勇気も必要だということさ。 ◆記録メモ 岡本和(巨)が2打席連続本塁打。1試合2本塁打以上のマルチ本塁打は、昨年8月6日に2打席連続を含む1試合3本塁打した広島戦以来、通算16度目。2打席連続は10度目だ。セの現役でマルチ本塁打上位は、24度の丸(巨)、21度の坂本(巨)、村上(ヤ)、20度の山田(ヤ)、中田(中)に次いで6番目だ。
報知新聞社