パリオリンピック 江村美咲がリベンジを誓う女子サーブル団体、男子フルーレ団体展望 東京五輪金の宇山賢が解説
交代選手として控える尾崎選手は法政大学に在籍しており、積極性が光る選手です。得点時には雄叫びを上げ、自らを鼓舞する姿からは勝利に対する貪欲さを感じます。攻撃的なフェンシングに磨きをかけてきた期待の若手です。 今回のパリ五輪に挑む日本チームは、女子サーブル史上初めて自力で五輪の出場権を勝ち取ったチームです。個人戦ではメダルに届きませんでしたが、悔しい思いを団体戦にぶつけてほしいです。 【初戦から厳しい相手】 初戦の準々決勝で対戦するハンガリーは世界ランキング2位の強豪で、ベスト4常連国です。これまではあまり対戦する機会がありませんでしたが、直近では2023年3月のW杯(ギリシャ・アテネ)で対戦し、35-45で敗れているため相性がいいとは言えません。 そもそもサーブルは、ハンガリー騎兵隊の剣技が競技化したとされていて、個人でも各選手のランキングが高く、種目発祥の地ならではの技術の高さを誇ります。初戦にして難敵と相対することになりましたが、日本チームも"個の力"は着実に向上してきています。あとはチームとして、それぞれに与えられた使命を果たすことができれば、歴史的な勝利を手にできると信じています。 ハンガリーを退けることができたら、準決勝ではウクライナとの対戦が予想されます。個人戦で銅メダリストを獲得したオリガ・ハルラン選手が控えていますが、彼女は昨年7月に世界選手権(ミラノ・イタリア)でベラルーシの選手に勝利したあと、握手を拒否して失格になったことも話題になりました。実力は確かで、プレー開始後の一瞬で「相手に主導権を握らせまい」と積極的なプレーをしてきますから、それにのまれないようにしたいですね。 決勝では、巧みなフットワークが武器の韓国、もしくは世界ランキング1位のフランスと戦うことになるでしょう。ランキングどおりに開催国のフランスが勝ち上がってきた場合は、完全アウェーでの対戦を強いられることになります。サーブルはプレー開始時の一瞬が非常に重要なため、開催国の大声援にひるむことなく攻めてほしいです。 日本はこの1年間でフランスとは2回対戦し、0勝2敗と苦戦しています。ただ、韓国人とフランス人のコーチと歩んだこの8年間で、選手たちはいろいろなものを吸収してきたはずなので、それを生かして戦い方を組み立てていけばチャンスはあるでしょう。 <団体戦で対戦の可能性がある国との近年の戦績> 2024年4月:W杯(プロブディフ・ブルガリア)フランス36-45● 2023年7月:世界選手権(ミラノ・イタリア)フランス37-45● 2023年3月:W杯(ギリシャ・アテネ)ハンガリー35-45● 2022年1月:W杯(プロブディフ・ブルガリア)ウクライナ45-28○