『わたしの宝物』Pインタビュー “田中圭”宏樹、“深澤辰哉”冬月。視聴者で割れる2人の男性の魅力は
キーワードは「せざるを得なかった女性」
――なるほど。 三竿:ただ『あなたがしてくれなくても』をやったあとに、もう1回大人のヒリつく恋愛ドラマというか、夫婦のタブーに切り込むような物語をやりたいなと思いまして。ずっと温めていた“托卵”を何とか企画にできないかと考えている中で、「せざるを得なかった女性」「どうしてもいろんな条件が揃ってしまってもうこの選択肢しかないとなってしまったお話」というのを思いついて。それであれば視聴者の方も「わたくしごと」と思えるんじゃないかなと、企画に落とし込みました。 ――たしかに1話の宏樹(田中圭)はなかなかでしたもんね。その中で、ドロドロしすぎないように意識した点があれば教えてください。 三竿:5話とかは、急に別のドラマが始まったかのようにドロドロさせていたんですけども、全体的には『昼顔』のときからそうだったように、身近に起こりうる話というのは意識しています。また、“罪を犯したら罰を受ける”っていうワードは大切にしています。やっぱり誰かを傷つけることをする女性を描いているので。 ――たしかに『昼顔』『あなたがしてくれなくても』にも通じますね。 三竿:はい。婚外恋愛みたいなことをすると、どんな事情があったとしても、それは誰かを傷つけることにはなるので。それに対しての代償というか、キレイごとでは済まされないようにはしようと思っていました。今回は特に、それによって子どもができてしまうので、人のせいにしたりするのではなく、ちゃんと自分で罪を背負っていく覚悟を主人公に持たせるっていうのは意識しています。もちろん揺れたりとか迷ったりとかはするんですけど。
宏樹派?冬月派?2人の魅力は?
――今回のドラマにおいて、視聴者が共感するには、宏樹のことも冬月くん(深澤辰哉)のことも魅力的に描くのは必須だったのではないかと思いました。そのために意識したことがあれば教えてください。 三竿:おそらく婚外恋愛のような題材を扱う時って、どうしても恋に落ちるほうを良く描きがちだと思うんです。今回の場合で言うと、冬月くんが魅力的で、宏樹は永遠にモラハラをしているようなタイプになるのかなと。 ――なるほど。 三竿:ただ、今回は恋愛要素にプラスして“托卵”というテーマ、子どもを守る母親の姿もあったりしたので、そういった意味で夫が改心していくっていうところがあると面白いなと思いました。そこでモラハラから育児に協力的で優しい父親になっていくという設定を思いついたのですが、予想以上に田中さんがうますぎて、SNS上でもみなさんの評価が高まっていますね。「宏樹、いいヤツだ」って。こちらとしては、「え、1話のモラハラ、忘れました?」っていうくらい(笑)。 ――たしかに(笑)。 三竿:冬月くんに関しては、誰しもが持っている昔の素敵な思い出、夫のことを好きになって結婚していても、どこかで忘れられない初恋の人のような存在だといいなと思い描きました。だから良い意味で、大人になってはいるけど中学のときの冬月くんのまんま、同じように自分に手を差し伸べてくれる、昔と変わらない感じは意識しています。それを深澤(辰哉)さんはよく理解して、自分に落とし込んで演じてくれていますね。苦しくて悲しい役で大変だと思いますが。