ローマ字で書かずに「李小龍」、ソウル近郊に「味の素フィールド西が丘」【日本と韓国を結ぶ漢字とサッカーと板橋と烏山】(1)
近年、アジアのサッカーは急速にレベルを上げている。そうした環境での切磋琢磨で、各国は成長していく。ライバル関係にある日本と韓国も、互いに高め合う仲間だ。蹴球放浪家・後藤健生が、両国をつなぐサッカーと文化についてつづる。 ■【画像】 「アチョー 怪鳥音を誰もが真似た」没後51年――香港が誇る名優・李小龍
■「サッカリン」「マッカーサー」に思わず反応
最近は韓国の地下鉄や高速道路で地名がハングル、ローマ字だけでなく、漢字でも書いてあることが増えました。 漢字は、書き方を覚えるのは難しいのですが、覚えてしまえば読むときにはとても便利な文字です。ひと目見ただけで、すぐに何という文字か分かるのです。ローマ字やカナと違って、映像として脳に取り込まれるからでしょう。 もっとも、カナでもしょっちゅう目にする単語は映像化されているので、膨大な文字の中に浮き上がって見えてきます。たとえば、僕にとっては「サッカー」という文字列はそうした特別な単語の一つ。「サッカリン」とか「マッカーサー」とか、「マカッサル(インドネシアの都市)」という単語を見ても、思わず心が反応してしまいます。 ハングルは読み方を知らない人にとっては記号の羅列です。しかし、しょっちゅう目にしていると、次第にそれが文字に見えてきます。そして、「ソウル」とか「ハングク(韓国)」といった単語は、やはり映像化されて、一目で理解できるようになります。僕にとっては「チュック(蹴球)」という単語のハングル表記も、そうした映像化された文字列になっています。
■中国の「人名」や「地名」は漢字で表記すべし
でも、やっぱり漢字は便利。香港でバスに乗るときに、それを実感します。なにしろ、地名が漢字で書いてあって、読み方がローマ字で書いてあるのですから。 香港は中国人の社会。言語的には広東語の世界ですから、街中至る所に漢字が氾濫しています(今では、怪しげな「ひらがな」表記も出回っていますが……)。 韓国でも、香港でも(あるいは中国大陸でも)、ローマ字も広く使われています。外国人旅行客のためでもありますし、香港の場合、100年間も英国の直轄植民地だったので、英語教育が普及しているからです。だいいち、香港人は漢字2文字か3文字の中国式の名前のほかに、英語風のファーストネームを持っています。 たとえば、李小龍という香港人俳優は、世界的には「ブルース」という英語のファーストネームで知られています(「李小龍」というのは芸名で、本名は「李振藩」)。 ちなみに、「小龍」の発音は北京語か広東語かで違っていますし(もちろん、上海語でも、四川語でも、客家語でも全部発音は違います)、そのローマ字表記はいろいろあって複雑なことになります。 たとえば、香港のことを「Hong Kong」と書いてあればすぐに分かりますが、北京語で「Xianggang」と書いてあったら、それが香港のことだと分かる日本人はほとんどいないでしょう。 ですから、中国の人名や地名はカナ表記やローマ字表記にするよりも、漢字で書くべきなのです(漢字を見せれば、北京人でもすぐに理解できる)。
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