EU、中国の貿易慣行は不公正との主張強める-民主主義脅かすと警戒
(ブルームバーグ): 欧州連合(EU)を国際舞台でより重要な政治的プレーヤーにするという公約を実現するため、中国の貿易に対する一連の制約を主導しているのがEUの行政執行機関、欧州委員会のフォンデアライエン委員長だ。
EUは中国の電気自動車(EV)補助金に関する調査に加え、中国が欧州の風力発電に違法な支援を行ったかどうかも調べている。補助金調査はソーラー企業や鉄道会社にも及び、中国の医療機器調達に関する調査にも間もなく着手する。
EU、中国の医療機器調達で調査開始へ-国内業者の不当優遇を懸念
EUは中国に対して一段と強硬になりつつあり、関税を課すような貿易制限措置をちらつかせている。中国を欧州市場から切り離し、貿易戦争に発展させる可能性もある。
貿易慣行
一方で、EUがようやく国際貿易を再び公正なものにするための措置を講じたという見方もある。
欧州委のベステアー上級副委員長(欧州デジタル化総括)は先週、「中国のやり方をわれわれは承知している」とし、「中国に踊らされていることを知れば、気を付けなければならないし、もっとよく観察し、より良い行動を取る必要がある」とブルームバーグテレビジョンに語った。
ドラギ前欧州中央銀行(ECB)総裁をはじめとする欧州要人は、過去20年以上にわたって欧米を苦しめてきた最大の社会・政治問題の中心にあるのが中国の行き過ぎた貿易慣行だと主張している。
ドラギ氏は今年2月の講演で、国際ルールや紛争解決の欠如が不公正な競争を生み、有権者が民主的価値観に背を向けるようになったと指摘。人々は「当然のように自分たちが取り残されたと感じた」と話した。
イエレン米財務長官は今月の訪中で、中国の過剰生産能力が世界的な問題になっていると伝えた。同長官は週末、中国製品の過度の流入を食い止めるため、追加関税の可能性も含め米国はあらゆる選択肢を排除しないとの考えを示した。
中国を今週訪問しているドイツのショルツ首相は、過剰生産能力に対応し、外国企業の扱いを改善させるよう中国側に警告するとともに、「競争は公正でなければならない」と述べた。