完成した群馬の新クラブハウスに潜入! レジェンド細貝萌が語る新拠点の大きなメリット、J2最下位からの残留への覚悟
「このクラブをJ2に残したい」
群馬は7月22日時点で、2勝7分15敗の成績でJ2全20チームのうち最下位に位置し、19位の栃木とは勝点で8差を付けられている(今季は18位、19位、20位の3チームがJ3に降格)。5月8日には大槻毅監督との契約解除を発表し、武藤覚ヘッドコーチが就任した。 その後も苦しい戦いが続いているが、7月7日の23節・愛媛戦に4-0で大勝。ここからペースを上げていけるか注目されている。 その試合で途中出場を果たした細貝も改めてこう話す。 「J2、J3ってかなり差があると思うんですね。僕も何度か口にしているんですが、J3に落ちてしまうと、やっぱり上がるにはそう簡単なものではない。可能性の問題ですが、そう甘くはないと思います。 僕としてはここは地元のクラブで、群馬県に、地元にJ2のクラブがあるのは本当に素晴らしいと思うんです。僕は前橋で育って、そこにプロサッカークラブがある幸せを実感している。当然、全国にはJクラブがない県もあるわけで、だからこそどうにかこのクラブをJ2に残したいと真剣に考えています。 シーズンは残り半分を切って、昨シーズンは前半戦が良くて後半戦になかなか結果が出なかった一方、今シーズンは今のところ本当に厳しい状況ですが、僕としてもチームとしても諦めていない。 対戦相手は群馬戦を落とせない一戦として臨んでくるはずですが、どうにか挽回できるチャンスを掴みたい。勝点を積み重ねるチャンスはまだあると思っています。『相当大変だったけど、後半に巻き返して残留したよね』と、それで来季、新たに向かっていけるようにイメージして踏ん張りたいです。 チームとして結果を出せずに監督が交代したわけで、やっぱり変えていかなくてはいけない面は多い。いろんな面で選手たちはマインドを変えなくてはいけないし、変わらないと結果が出ないままのはず。チーム全体で特に現場で僕ら選手と、スタッフ陣がより意識を変えないといけないと思います。こんなに結果が出ないことも、なかなかないですが、いろんなものをみんなが感じているはずなので、一緒になってやっていければと。 今後5、10年と、このクラブがもっと良いクラブになっているように、そのキッカケになるように、クラブハウスを作っていただいたので、もっとやらなくちゃいけないと自分たちにプレッシャーをかけながらプレーしています」 38歳の細貝自身は前述の愛媛戦がリーグ戦での今季初出場となった。だが、まだまだ選手として挑戦を続ける覚悟だ。 「僕自身もっと試合に絡んでいかなくてはいけない。身体はそんなに悪くはないと思っています。ブレてしまうとそれこそ自分のためにならないので、できる限りブレることなく、自分にできることを精一杯やっていきたい。表に見えなくてもチームのためになるように自分らしくやっていきたいです。 ただ自分は選手なので選手として輝けるように努力していきたい。周りはいろんな選手が引退をしていって、先日、同い年で岡ちゃん(岡崎慎司)からも引退発表前に電話をもらって話をしました。周りの選手たちが少しずつそういう決断をしていくなかで、ただ僕らより上の年齢でやっている方々はいますし、僕も今をしっかり選手として歩んでいきたい」 ただ一方で若い時に比べチーム内での振る舞い方も変わってきた。 「今は試合に絡めていない状況がありますが、自分のことはもちろんその他の情報も自然に見るようになって、自然に入ってくるようになりました。そういう立場になったということなんですが、いろんな情報を余裕を持って見られるようになりました」 今回クラブハウスの建設に関して、ロッカールームからグラウンドの動線などには細貝のアイデアも反映されているという。細貝のロッカーの位置も、全体を見渡すことができ、アカデミー選手や練習生に声をかけられる場所だという。 こうした経験豊富な選手がチームにいてくれることはプラスに違いない。 そして強力な援護射撃となる新クラブハウスの完成が、チームにどんな影響をもたらすのか大いに注目だ。 取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)