ヨーロッパ企画の“新たな可能性”を詰め込んだ再演『来てけつかるべき新世界』上田誠、藤谷理子、岡田義徳インタビュー
――藤谷さんは2021年からヨーロッパ企画に正式参加。先輩方に熱い演技論を語られたりなどは? 藤谷:劇団では一番下っ端なので先輩にアドバイスをもらうことはありますが、「あそこはダメだよ!」「ここはこうするんだ!」など熱く語られることはありません(笑)。そんな劇団ではないですが、先輩方からお芝居の話を聞けるのは楽しいです。 上田:僕は藤谷さんと演劇の話をするのがすごく好きです。ヨーロッパ企画は“演劇が好き”というよりかは、“何かを作ることが好き”な人たちが集まってできた劇団なんですよね。良くも悪くも劇団らしくないところから始まっていて、劇団として成長するにつれて藤谷さんのような演劇が好きな人がどんどん増えてきた。そのおかげで新たに演劇らしい演出が加わったので、もっと色んな話がしたいです。モノローグを入れたり、客席に向かってセリフを言ったりというのは、藤谷さんが入ってからやろうと思ったことですから。 藤谷:そうなんですか? 嬉しい。もっとたくさんお話できるように頑張ります(笑)。 ――岡田さん、板尾さんをキャスティングしたことも、新たな可能性を探ってのことだったのですか? 上田:そうです。せっかくの再演なのだから、今作ならではのものを加えたいなと。岡田さんとはまたご一緒してみたくて、同世代なので見てきたもの・体験したものが似ているし、ヨーロッパ企画の刺激にもなりそうで、また関西弁の壁くらい難なく突破してくれそうという非情に厚かましい気持ちでお願いしました。 板尾さんは、これまでヨーロッパ企画の劇に出演するイメージがなかったのですが、『来てけつかるべき新世界』ならあり得るかもと思ったんです。最初は、初演で福田転球さんが演じたクリーニング屋さんをお願いしようと思っていたのですが、板尾さんから「マナツのお父さんを自分がやる、という配役もあるかも……」とアドバイスいただき、たしかにそれはいいなと思い、思い切って配役を変えることにしました。エチュードで配役を変えることもありますが、そういった申し出があると「じゃあこの人にはこういう役を」と新たな可能性も生まれるのでありがたかったですね。