糖質の吸収をゆるやかにする食物繊維がカギ?!肝臓が大喜びする「神食品10選」
できるだけ体にいいものを食べたほうがいいとわかっていても、「今日は何を食べよう?」というシンプルな問いが、重荷になることはよくあります。でも、できることなら、手間をかけずに健康的な食事をしたいですよね。大人気YouTubeチャンネル「本要約チャンネル」が、世界最新の知見と2000冊の書籍から導き出された本当に健康にいい「食べ物、食べ方」を一冊にまとめました。著書『結局、何を食べればいいのか? 』(アスコム)より、一部内容を抜粋してご紹介します。 〈写真〉肝臓が大喜びする「神食品10選」 ■肝臓が大喜びする10の神食品 肝臓を守るには、とにかく「何を食べないか」が大事。ですから、ここまでの内容を実践できれば、基本的には文句なしです。ただ、肝臓によい食材がないわけではありません。まず、知っておくべきは、肝臓にも腎臓にも、共通してよいのが食物繊維だということです。腸にもよい食物繊維は、肥満を防ぎ、お通じをよくしてくれます。肥満はそのまま脂肪肝に直結しますし、有害なガスが腸内に溜まる便秘も肝臓にダメージを与えます。このような理由から、食物繊維は肝臓によい効果をもたらすわけです。腎臓については、「腸腎連関」と呼ばれる腸と腎臓の相関性が判明しています。たとえば、便秘がひどい人ほど慢性腎臓病になるリスクが上がることが明らかになっているのです。食物繊維は腸内環境を良化させる。その結果として、腎臓にも好影響が出るということです。さらに、糖質の吸収をゆるやかにする食物繊維の働きも、肝臓と腎臓を守ってくれます。 ■肝臓によい食品 ■■ブラックコーヒー コーヒーは肝臓に大きな健康効果を持つことが判明しています。国立がん研究センターの井上真奈美先生らが、40~69歳の男女約9万人を長期にわたって追跡調査した、貴重な研究があります。同研究では、コーヒーをほぼ飲まない人と比べて、ほぼ毎日飲む人は肝臓がんのリスクが約半分になっています。さらに、1日5杯以上飲む人は4分の1にまで低下し、コーヒーをたくさん飲んだ分だけリスクが下がる結果が出ています。肝硬変とコーヒーについての調査も多く、他にも、毎日4杯以上飲む人は肝硬変になりにくいとする研究もあります。また1日3~4杯のコーヒーを飲む人の総死亡リスクが最も低下した、血管の老化を防ぐなどの健康効果も報告されています。まさにコーヒーは、毎日飲むべき最高のクスリといえますが、飲むべきは朝です。朝ならコーヒーのカフェインが睡眠に影響を与えません。健康にもよく集中力も高まるコーヒーは、まさに朝に最適な飲み物なのです。 ■■わかめ わかめは食物繊維が豊富で、その時点で肝臓によい食材です。さらにマウスの実験で、脂肪が溜まりにくく、炎症の数値も下がる結果が出ています。注目は、海藻類の一部にのみ含まれる水溶性食物繊維の「フコイダン」です。脂肪が溜まりにくくなる以外にも、わかめには抗がん作用、免疫への効果、血液をサラサラにする効果、育毛効果などがあります。しかし、そんな万能食材ですが、コーヒーと同じくとりすぎはNGです。食物繊維をとりすぎるとお腹を壊すことがあります。また、海藻が含むヨウ素の過剰摂取になる可能性もあります。おすすめは、わかめ入りの味噌汁を毎日飲むことです。 ■■アボカド 肝臓で働く抗酸化物質「グルタチオン」が豊富なアボカド。非アルコール性の脂肪肝の被験者が、アボカドを含むバランスのよい食事をとったところ、肝臓の各種機能の数値が改善したという研究もあります。当然ながら、飲酒・喫煙など、肝臓によくない生活習慣がある方には、なおさらおすすめの食材です。健康にいいオメガ3脂肪酸の脂質を含むアボカドは、その他にもさまざまな健康効果がある栄養豊富な食材ですが、実はこれまた、とりすぎには要注意です。アボカドは食物繊維や脂質が多いので、食べすぎると胃もたれや肥満につながります。とはいえ、裏を返せば食べごたえがあるので、アボカドで満腹感を覚えて主食を減らす、といった食べ方に活用することもできるでしょう。 ■■にんにく にんにくは、糖質や脂質の消化吸収をコントロールしてくれます。すでに述べたように、糖質や脂質のとりすぎは肝臓によくありません。にんにくさえ食べれば、どれだけ糖や脂をとってもOK、という話ではありませんが、非常に心強い食材です。さらに、にんにくに含まれる「アリイン」が体内で分解されてできる「アリシン」は、肝臓に蓄積された毒素を排出する効果もあるのです。このアリシンは、にんにくの細胞を壊すと効率よく生成されるので、すりおろすか、みじん切りにして包丁で潰して料理に使うのがおすすめです。ちなみに、いわゆる「にんにく臭」はアリシンから来ているので、にんにくの臭いが強い状態は、栄養的にはよいとり方ができた証拠です。そして、これはご存知の方も多いと思いますが、にんにくもとりすぎはよくありません。アリシンには強い殺菌効果があり、それが腸の悪玉菌を減らしてくれたりもするのですが、多すぎると善玉菌も減らしたり、胃が荒れたりするので要注意です。 ■■ アブラナ科の野菜 ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、ケール、チンゲン菜、大根、カブといったアブラナ科の野菜は「台所のドクター」と呼ばれています。食物繊維や葉酸、ビタミンC・E・Kなどを豊富に含み、抗酸化作用を持つ物質も多く、肝臓を抜きにしても日常的に食べるべき野菜です。そんなアブラナ科野菜は、肝臓がんのリスクを下げる効果もあります。さらに、肝臓で働く解毒作用を持つ酵素を増やすこともわかっています。現代人の多くは、アルコールや体に悪い添加物、サプリメント、薬など、肝臓に負担をかけるものを多く摂取しています。サプリメントや薬にはメリットもありますが、先述したように肝臓に負担がかかることは避けられません。その負担を軽減してくれるのです。 ■■大豆食品 重要な栄養素であるたんぱく質は、肝臓の機能もサポートしてくれます。しかし動物性たんぱく質は、脂質や塩分のとりすぎにつながりやすい。そこでおすすめなのが、植物性たんぱく質を豊富に含む、大豆を使った食品(豆腐、納豆など)です。抗酸化作用を持つ「大豆イソフラボン」や、コレステロールの吸収を抑制する「サポニン」も摂取できます。 ■■酢 肝臓によい納豆を食べるとき、強くおすすめしたい調味料が酢です。醤油で食べる方が多いと思うのですが、健康的には酢納豆の圧勝です。ちなみに、付属のタレやからしは添加物が多いので使わないようにしましょう。酢に含まれる酢酸には「AMPキナーゼ」という、脂や糖の燃焼を促進する酵素を活性化する効果があります。さまざまな研究でも、酢には脂肪を落としたり、腹囲を小さくしたり、BMIの数値を下げる効果が認められています。さらに酢には、血糖値を下げる効果もあります。余分な糖質は肝臓で中性脂肪になってしまうので、血糖値の低下は脂肪肝の予防にも直結します。おすすめは、アミノ酸の含有量が多い、品質の高い黒酢です。納豆に限った話ではなく、味が合う食材にはどんどん使って酢を摂取しましょう。 ■■生・皮つきの真アジ アジやイワシといった小型の青魚は、どんな健康書でも悪く書かれることがない素晴らしい健康食材で、必須アミノ酸(体内で合成できず、食品やサプリメントからとる必要があるアミノ酸)を豊富に含んでいます。アジを含む魚を毎日食べることで、肝臓がんのリスクが有意に減少したとする研究もあります。必須アミノ酸には肝臓の機能を向上させる効果があるのですが、生で皮つきの真アジは、食材に含まれるアミノ酸のバランスを示す「アミノ酸スコア」が100点満点で、必須アミノ酸を効率よく摂取できます。また青魚には、DHAやEPAといった、不飽和脂肪酸のオメガ3脂肪酸も豊富に含まれています。1章で善玉菌を増やす効果があると説明しましたが、このオメガ3脂肪酸は数々の健康効果を持つ最強の脂質と言える存在です。 ■■グリーン地中海食(緑茶、オリーブオイル) 魚とオリーブオイル中心の「地中海食」を、加工肉をとらず、野菜を豊富にとり、海藻と緑茶をとるという形にアップデートした「グリーン地中海食」も肝臓が喜ぶ食事です。わかめ(海藻)と真アジの説明はすでにしたので、ここでは緑茶とオリーブオイルの健康効果を説明します。まず緑茶は、抗菌作用と、肝臓を傷めつける活性酸素を取り除く高い抗酸化作用を持つポリフェノール「カテキン」を豊富に含んでいます。加えて、その他の内臓脂肪や皮下脂肪の燃焼を促す効果もあり、肥満や脂肪肝に悩む人にピッタリの飲み物です。そしてオリーブオイルに含まれる、不飽和脂肪酸のオメガ9脂肪酸には、コレステロール値の改善効果があります。また、抗酸化作用を持つビタミンEやポリフェノールも含んでいます。オリーブオイルをとる場合、ポイントが2つあります。一つは、1章でも説明したように、高品質のエキストラバージンオリーブオイルを使うこと。もう一つは、レモン汁と一緒に使うことです。オリーブオイルと同時にとることで、よりよい効果が得られることがわかっています。さらにレモン自体にも「クエン酸」や「エリオシトリン」等の肝臓によい成分が含まれているので、一石二鳥、三鳥の効果が期待できます。 ■■玄米、オートミール グリーン地中海食を取り入れてみようと思われた方がいる場合、注意していただきたいのが、主食をどうするかです。私たちはそもそも主食を食べないことが多いのですが、グリーン地中海食をそのまま真似すると、主食は基本的にパスタになります。しかし、健康目的なら、パスタはあまりおすすめできません。まず、精製された小麦粉を使った白いパスタは、血糖値を急上昇させます。おまけに、日本人はグルテンが原因でさまざまな不調が起こる「グルテン不耐症」である割合が非常に多いと言われています。そして、全粒粉のパスタであっても、グルテンフリーではありません。そのため、主食を食べるなら、玄米やオートミールがおすすめです。1章でおすすめした大麦やもち麦もグルテンフリー食材ですが、ある食品や花粉にアレルギーがある場合、構造が似たものでもアレルギー反応が起きる「交差抗原性」というものがあります。そのため、グルテン不耐症の方が別の麦を食べたとき、不調が起きる可能性もあるので、その点には注意してください。 ■■この本の著者/本要約チャンネル 「真に役立つ知識を、誰にでも分かりやすく伝える」 を信念に、YouTubeチャンネル「本要約チャンネル」を運営。医学部在学中に起業し、チャンネル登録者数167万人、再生回数4億7千万回以上(2024年7月末時点)と、大きな支持を集めている。1万冊以上の書籍を読み、一日五冊もの読書を続ける生粋の本好きでもある。数々の健康書や難解な医学論文を分かりやすく解説した動画は、若者から高齢者まで幅広い世代から支持を集めている。ファスティングを取り入れた1日1食生活を実践するなど、健康的なライフスタイルを長年実践している。著書に『「読む」だけで終わりにしない読書術 1万冊を読んでわかった本当に人生を変える方法』(アスコム)がある。
ヨガジャーナルオンライン編集部