長谷部が発した「監督を信じる力が試される」の真意
ハビエル・アギーレ監督の八百長疑惑に揺れる日本代表が29日、千葉県内で短期合宿をスタート。来年1月9日に開幕するアジアカップ・オーストラリア大会へ向けて始動した。 参加したのは、シドニーで合流することが決まったDF吉田麻也(サウサンプトン)を除く22人。午後5時半から始まる練習に先駆けて、宿泊先の千葉県内のホテルで日本サッカー協会の大仁邦彌会長がここまでの経緯を説明。その上で余計な心配をかけたことを陳謝し、今後もアギーレ監督を信頼して活動を続けていく方針を示した。 続けてアギーレ監督自身が潔白であることを主張。話した内容は27日に都内で行われた釈明会見と同じだったらしいが、指揮官の言葉で直接説明されたことで、チームに明らかな変化が生じたとキャプテンのMF長谷部誠(フランクフルト)が打ち明ける。 「監督の思いというものが直接、感情というものも含めて僕たちの心の中に直接入ってくるというか。そういう言葉をたくさん聞くことができましたし、いままでは間接的といいますか、そういうところ(報道)でしか目にしたり聞いたりしていなかったので。その意味では終わった後の選手たちの反応や表情を見ていても、熱いものを感じていたと思う。チームは間違いなく同じ方向を向けている」 アギーレ監督が発した言葉の中で、長谷部の脳裏に強く焼きついているものがあるという。 「私はサッカーに対する裏切りというか、そういうことは絶対にしないと。監督も本当にサッカーを愛しているというか、サッカー人ですし、僕たち選手もサッカー人というかサッカー馬鹿なので(笑)。そこは通じ合うものがありましたね」 スペイン検察庁の反汚職課によって、アギーレ監督を含む41人の選手及び関係者と、法人としてのサラゴサが告発されたのが今月15日。騒動が一気に拡大したことを受けて、日本サッカー協会の霜田正浩技術委員長からヨーロッパ組には直接、国内組には所属するJクラブを通じてメールで経緯が説明されていた。 しかし、「八百長」という言葉がもつ響きは想像以上に重かったのだろう。ブンデスリーガの前半戦を終えて帰国した長谷部は、「最初に聞いたときは信じられなかったし、いまでも信じられない」と少なからず揺れている心境を打ち明けている。