長谷部が発した「監督を信じる力が試される」の真意
だからこそ、連覇がかかるアジアカップへ向けて始動する日に、心の片隅に巣食っていたもやもや感を追いやることができたことは価値がある。その場に居合わせた選手全員の思いを、長谷部が代弁する。 「チームを作る上で、お互いを信頼してやっていくことが重要だと僕は感じている。その意味では、監督の言葉を直接聞けたことで、自分たちの(アギーレ監督を)信頼する力が試されているのかなと」 代表チームを車にたとえれば、指揮官と選手たちは両輪となる。アギーレ監督が自分自身の潔白を、そして日本代表チームを信頼していることは十分に伝わってきた。今度は選手たちが指揮官の思いに応えなければ、チームは前へ進むことができない。長谷部が口にした「信頼する力が試されている」とは、両輪が同じスピードで回転していく様を思い描いていたのだろう。 チーム最年長の34歳で、今回が4度目のアジアカップとなるMF遠藤保仁(ガンバ大阪)が、独特のひょうひょうとした口調で選手たちが進むべき道を説いている。 「僕らが気にしてもしょうがないので。一人ひとりの気持ちのもち方の問題だと思いますし、監督が(八百長を)やっていないと言えばやっていないと思いますし、僕らが立ち入る場所でもないので」 ピッチに立ってキックオフの笛が鳴れば、サッカーという競技の結果のほとんどは選手たちのパフォーマンスに委ねられる。監督がどうのこうのは言い訳にすらならないと遠藤は言いたいのだろう。 その意味で、ワールドカップ・ブラジル大会の代表メンバーが14人も選ばれ、代表における経験が豊富で自立している選手たちが多く招集されたことは「プラスになる」と遠藤は続ける。 「アジアカップを経験している選手も多いですし、チーム全体の落ち着きも取れると思うので。経験豊富な選手がいるのは非常に心強いですよね。普通にやれればいいと思いますけどね」 1月2日まで行われる国内合宿は、コンディションを整えることがメインの目的となる。シーズンの最中のヨーロッパ組と、シーズンを終えてつかの間のオフで英気を養った国内組をいかに融合させるか。招集された選手全員にはそれぞれのスケジュールに合わせた調整メニューが個別に手渡されるなど、万全の状態で真夏のオーストラリアに臨むプランが描かれている。