『虎に翼』羽瀬川なぎの繊細な表情が物語る玉の秘めた思い 懐かしの“饅頭”も再び
思いがけず、明律大学女子部の同期である涼子(桜井ユキ)とそのお付きである玉(羽瀬川なぎ)と再会を果たした寅子(伊藤沙莉)。しかし、玉は何やら居心地の悪い様子で、寅子もそんな玉を気にかけていた。『虎に翼』(NHK総合)第82話では、玉が寅子に隠していた思いを打ち明ける。 【写真】きまりが悪い表情を浮かべる玉(羽瀬川なぎ) 太郎(高橋克実)と次郎(田口浩正)からしつこく麻雀に誘われていた深田(遠山俊也)。それを見た寅子は自分が参加すると言い出すが、太郎は「はぁ?」といかにも嫌そうな返事をする。そんな太郎のことなんか気にすることなく、寅子は前向きな意志を伝えるが、「女は麻雀なんかしねぇほうがいいんでっせ」とはぐらかされてしまう。だが、そんなことで簡単に引き下がる寅子ではない。むしろ火がついたかのように麻雀を勉強しようと意気込んでいた。 花江の実家で女中として働いていた稲(田中真弓)が、毎週水曜日に優未(竹澤咲子)の面倒を見てくれるようになったおかげで、優未の表情は明るくなっていった。そんな中、学校帰りの優未は母親である寅子の「もっと自分から声かけてみたら?」という言葉を思い出していた。同級生から一緒に帰らないかと声をかけられた優未は「うん!」と返事をする。きっとこれまでも何度もこういう場面はあったはずで、きっと優未は断ってきたのだろう。 第81話では寅子との会話の中で「学校の子はずっと一緒にいると疲れる」という発言もあったが、きっとそれは本心だろうし、今後も変わらないかもしれない。だが、学校の人間との交流の中で知ることはたくさんある。優未にとっては大きな前進となるはずだ。
玉(羽瀬川なぎ)が明かした「お嬢様を自由にして差し上げたい」
一方で刑事事件の裁判を受け持つことになった寅子。当事者たちの幸せを第一に考える家裁とは違って、刑事事件は目の前にいる人間の罪の有無を見極めなければいけない。寅子は「彼らの人生に思いを馳せてしまう」ことに悩んでいた。 そばで聞いていた涼子が「多くの子どもたちやご家庭を見てきた寅子ちゃんだから見極められる真実はある」と思いを伝えると、寅子は「さすが涼子様です」と感心する。しかし、「今すぐにでも裁判所で働いてほしいくらいだわ」という寅子の発言を聞いて、きまりが悪い表情を浮かべていたのが玉。どうやら玉には涼子に対して思うところがあるようだ。 涼子の誘いを受けて、いつもの水曜日ではなく日曜日に喫茶ライトハウスを訪れた寅子と航一(岡田将生)。涼子が用意してくれた“とっておき”とはかつて明律大学女子部法科の仲間たちとともに、法廷劇の再検証をする際に作った寅子たちにとって思い出の饅頭だった。森口(俵木藤汰)の娘・美佐江(片岡凜)も加わり、3人で楽しい時間を過ごした寅子だったが、1人だけ浮かない表情をしていたのが玉だった。そんな玉を見かねた寅子は片付けを手伝うと言って残り、あくまでも対等な存在として玉に寄り添った。 「お力を貸してください。お嬢様を自由にして差し上げたいんです」 それが玉の本当の願いだった。玉は自分が涼子の枷になっているのではないかと思っている。だが、果たして本当にそうなのだろうか。玉の勇気がいい方向に進むことを願っている。
川崎龍也