【Playback箱根駅伝】第16回/日大が参加14年目で初優勝!! 早大・中村清が1区区間賞
2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの) 第16回箱根駅伝総合成績をチェック
第16回(1935年/昭和10年) 復路は悠々と独走 黄金期の1歩踏み出す 5区は東洋大・池中康雄が区間賞
日大が参加14年目にして悲願の初優勝を達成。東京高師、明大、早大、中大、慶大に続いて6校目となる優勝校の仲間入りを果たした。 レース序盤をリードしたのは早大。前年の関東インカレ1500mで優勝している中村清が1区区間賞を獲得すると、2区の小野利保も区間2位で先頭をキープする。なお、中村は後年、早大の監督として競走部を指導。瀬古利彦をはじめ、坂口泰、遠藤司、川越学、金哲彦らを育てている。 一方の日大は2区の星野順が区間新記録の快走で3位から2位に上がると、3区の森本一徳で首位に浮上した。だが、4区では1分39秒差でスタートした早大の大野正次が小田原中継所手前で日大を再逆転。早大が日大をわずかに7秒リードして勝負は5区に入った。 迎えた箱根の山では日大が新人の鈴木房重が区間4位ながら従来の区間記録を更新する走りで早大を突き放して往路優勝。2位の早大に3分44秒差をつけた。5区で区間賞に輝いたのは東洋大の池中康雄。後にマラソンで2時間26分44秒の世界新記録を打ち立てた名ランナーだ。 復路の日大は6区の矢萩丹治が区間2位の好走で早大との差を7分49秒に広げると、8区の村上昇と9区の鈴木勇が区間賞。9区を終えた時点で14分のリードを奪った日大はアンカーの松永重がトップでゴールに駆け込んだ。 往路、復路ともに制しての優勝は14回大会の早大以来の快挙。前回優勝の2位早大に11分47秒差をつける圧勝だった。日大はこの大会を皮切りに戦前唯一の4連勝と黄金期を築く。 それを支えたのが今大会でデビューした鈴木だ。6年連続で区を走り3度区間賞を獲得。山登りの切り札として頼りになる存在だった。 3位は慶大。9区終了時点では6位だったが、1932年のロサンゼルス五輪で5000mと10000mの代表だった竹中正一郎が区間新記録の快走で順位を3つ上げた。 参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)