2作品で100万円!「アート委嘱」の絶大なる潜在力 毎年5人「アーティストの卵」を選び制作依頼するVCの真意
ここでは、5人が制作したインスパイア社員のポートレート作品のうち、その一部を紹介しよう。 まず高槻社長のポートレート。作者は、東京芸術大学油画第1研究室在学中の原ナビィさんだ。ワイナリーでの記念写真、ダイビングスーツでの写真、サングラスを掛けてポーズを決めた写真などを材料として渡し、あとは自由に書いてもらったという。 感じた印象をそのまま作品に込めているわけだが、なかなか刺激的。そこには、”忖度”のようなものなどないことがよくわかる。
続いて、インスパイアの清水俊樹取締役のポートレート。色本藍さん(東京芸術大学大学院美術研究科在学中)が制作した。日常生活を撮影した数枚の写真を基に描いた作品である。 こちらはインスパイア・インベストメントの藤本学取締役のポートレートを描いた山本恵理さんの作品。インスパイアにて面談のうえ、数枚の写真を渡して、そこから作品が生まれた。山本さんは東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻の卒業生だ。 第1期生に選ばれた”アーティストの卵”には、このほかに武蔵野美術大学を2024年3月に卒業した「白 haku」さんと、東京芸術大学日本画専攻卒の杉本岳久さんがいる。
■悩ましい企業とアートの関わり 企業とアートの関わりをめぐっては、不祥事や経営効率上の問題が話題になることも多い。 最近では、化学メーカーのDICが、現代アートを集めた秀逸な美術館「DIC川村記念美術館」(千葉県佐倉市)を2025年1月から休館することを明らかに。外部株主からの指摘を受けて、規模の縮小、外部への売却などを検討するようだ。 これまでは「美術館をつくる」「美術展に協賛する」「財団を通じて寄付」といった活動が企業とアートとの付き合い方の定番だったが、業績との兼ね合いで何かと批判されることも多い。そうであれば、アートからは距離を置いたほうが無難、という考え方をする経営者が多数派かもしれない。