20年前のクルマとは思えないほど良好なコンディション アルファ・ロメオ156 GTAに乗る湯浅洋司さん やっぱりエンジンが素晴らしい!
仲間からも『大事に乗れよ』って言われてます!
ドライバーズ・カーといえば、アルファ・ロメオを思い浮かべる人も多いはず。そのなかでもとびきりホットな“Alleggerita”は、肌馴染みのいい一台だった。 【写真11枚】アバルト595でイタリア車に目覚めたオーナーが手に入れたアルファ・ロメオ156GTA やっぱり156はかっこいい! ◆ワルター・デ・シルヴァによる優美なデザイン 1990年代末~2000年代初頭のアルファ・ロメオのヒット作、「156」に心ときめかせた人は少なくないはずだ。かのワルター・デ・シルヴァによる優美なデザインを纏ったセダンは、アルファらしい鋭い走りとも相まって多くの人を魅了。そしてさらにその動的性能を高めた「156GTA」も印象深い。このクルマには、アルファの伝説的な技師ジュゼッペ・ブッソの手になるV型6気筒の最終型が積まれ、3.2リッターの排気量から250ps、300Nmを発生。156GTAは足回りなども強化された“ドライバーズ・カー”だから、今回の企画にこれ以上ふさわしいクルマはないだろう。 そんな特別なクルマを選び、日常で愛用しているのが湯浅洋司さんだ。おしゃれな雰囲気を纏う湯浅さんと、登場から20年という月日を経ていい塩梅にこなれた156GTAは見事にマッチして見える。彼のこのチョイスはアルファ・ロメオを知り尽くした結果かと思いきや、実際のところ湯浅さんは生粋のアルフィスタというわけではないという。 「クルマ第一主義だったり、熱狂的なアルファ・ファンだったわけではないんです。でも、昔から運転は大好きでしたけどね」 湯浅さんの車歴を聞けば、その言葉にも納得だ。18歳で免許を取得し、最初に手に入れたのは三菱パジェロ。スノーボードに夢中だった当時、片道数百キロの道のりも難なくこなしていたという。その後は家族が増えたこともありトヨタ・プリウスに乗り換え。実に堅実な選択だ。 「普通なら、ずっとスポーツカーを乗り継いできて、ここにたどり着くのかもしれませんが、僕の場合は、その時の生活環境に合わせた選択をしてきました。でも、心のどこかにはやはり、スポーツカーへの憧れがあったのかもしれませんね」 そんな“憧れ”や“運転への情熱”が再燃したのは、今から4年ほど前のこと。きっかけは知人のイタ車乗りや、ごく身近にイタリアン・ホットハッチがあったことだという。 「同じマンション内にアバルトに乗る方がいらっしゃって。そのオーナーが出かけるたびに、あの小さなボディからものすごい迫力のサウンドが響くんですよ。痺れましたね」 そんな刺激を受けて、彼自身もアバルト595のオーナーになった。 「プリウスでも走り込んでいましたが、やはり“操る”楽しさはMTに限りますね。左ハンドルのマニュアル車を選んだのも、プリウスの安楽さからの反動かもしれません(笑)」 アバルトとの蜜月は4年ほど続き、その間にクルマ仲間も増えていった。 ◆デザインとサウンドに痺れる 改めてドライバーズ・カーを手に入れ、SNSで同好の士の輪を広げていった湯浅さん。156GTAとの出会いもそこから生まれたという。 「仲間が156GTAを手に入れたことに影響を受けましたね。実車を目の当たりにすると『やっぱりこれだな』って」 そうして出会ったのが現在の愛車、2004年式の156GTAである。 「今年の春に手に入れて、まだ5ヶ月程度ですが、まったく飽きないですね。デザインはもちろん、何よりエンジンが素晴らしい。マフラーも替わっているので高回転まで引っ張ると本当にいい音がします。トンネルや交通量の少ない場所では、ついつい回したくなるんですよ(笑)」 実際に隣に乗せてもらうと、この156GTAは20年前のクルマとは思えないほど、コンディションは良好だった。以前のオーナーによって足回りにも手が加わっているが、石畳の道でもしなやかさを失わず、ゴトゴト感もない。この個体は、歴代オーナーが愛情を注いできたからこそ、時を経て味わい深く熟成されているように思える。それも含めて、湯浅さんは購入時の状態のまま156GTAを楽しんでいるのだ。 「サーキットを走ってみたい気持ちもありますが、やはり20年前のクルマですから、ちゃんと整備しないと怖いですよね。仲間からも『大事に乗れよ』ってよく言われます。もちろん、そのつもりで156GTAとの生活を楽しんでいます」 湯浅さんと156GTAの関係は、どこまでも自然体だ。自身の自由な時間にGTAを連れ出し、仲間と語らい、もうひとつの趣味であるカメラで愛車の姿を収める。肩肘張らず、生活の中に自然に溶け込むような付き合い方が素敵だ。その優しく滑らかなステアリングやシフト操作からも、湯浅さんとGTAの間にすでにしっかりとした信頼関係が築かれていることが伝わってくる。こうして自然に“着こなせる”クルマこそ、本物のドライバーズ・カーだろう。そんな156GTAをさりげなく楽しむ湯浅さんの姿勢はクルマ好きの理想的なスタイルのひとつと言える。 文=桐畑恒治 写真=望月浩彦 (ENGINE2024年12月号)
ENGINE編集部
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