いきなりクラッシュのアントネッリを、メルセデス代表も激励。かかる重圧を理解しつつ「F1王者になりたいなら、それに対処する必要がある」
来季メルセデスからのF1デビューが濃厚と言われる18歳のアンドレア・キミ・アントネッリは、イタリアGPのFP1でジョージ・ラッセルのマシンに乗り、F1公式セッションデビューを果たした。当初セッション最速タイムをマークしていたものの、最終コーナーでスピンしてウォールに激突。セッション開始からわずか10分ほどでの出来事だった。 【動画】アントネッリ、F1公式セッションデビューも痛恨のクラッシュ|F1イタリアGP FP1 アントネッリは45Gもの衝撃を受けたためメディカルセンターへ。母国イタリアのファンの前で数周しか走ることができず、期待されていたようなデビューにはならなかった。クラッシュ後には無線で悪態をついた後にチームに謝罪したが、トト・ウルフ代表も「キミ、問題ない。大丈夫だ」と励ましていた。 ウルフはアントネッリを取り巻く状況が彼にとってプレッシャーになっていただろうと説明した。 「ドライバーを起用するかしないか、誰をFP1に投入するかを決定するのはチームであり、我々はこのドライバー決定について、何が起こり得るのか、何を期待すべきかを意識した上で判断している」 「ここモンツァでは明らかに、彼が自らにのしかかるものの全てに対処するのは非常に難しい。それが彼がウォールの餌食になった理由かと言われると、そうかもしれない」 「私は状況が悪かったと思っている。モンツァでイタリア人ドライバーがトップチームに乗ることも久しぶりだし、一挙手一投足を厳しい目で見られる。これは18歳の若者にとっては大変なことだ」 「彼にとっては確かにひどい心境だろうが、これも成長の一部だ。我々が見ているのはパフォーマンスであり、それは彼が走った数周でも感じられた。彼のしたことにマシンが耐えられなかったのだ」 ウルフは、初のFP1でクラッシュに終わったアントネッリの巻き返しを期待しており、メキシコGPのFP1では彼が再びステアリングを握る予定だと明かした。 「強いドライバーになるにはこうしたことから立ち直り、プレッシャーに対処する必要があると思うが、彼にとって今週末が簡単ではなかったのは明らかだ。F2も走る必要があるし、モンツァでは色々と騒がれる。イタリアの少年がメルセデスのマシンで初めて(FP1を)走るのだからね」 「それは重荷に違いない。しかし彼がいつかチャンピオンになりたいのであれば、それに対処する必要があるし、彼は間違いなくそれができると私は思っている」 短い走行時間ながら、才能の片鱗も見せつけたアントネッリ。コーナーの通過速度は目を見張るものであり、マシンの限界までプッシュしたことがタイヤのオーバーヒートに繋がり、クラッシュに繋がったと指摘されているほどだ。ウルフは次のように語る。 「残念なのは、1時間あればもっと良いパフォーマンスが見られただろうということだ。しかしいつも言っているように、彼はルーキーでまだ若い。そして我々は彼の未来に投資する準備ができている」 「このようなことは来年も起こるだろうが、一方で見どころもたくさんあるはずだ。我々は、彼を速く走らせるよりも遅くさせる方に問題を抱えているんだ。我々があの1周半で見たものはまさに驚くべきものだった」 「何より重要なことは、彼が無事であることだ。クラッシュの衝撃は45Gもあったからね。そして第二の優先事項は、ジョージにマシンを用意することだ。プログラムが遅れないようにしなければならないが、少し遅れてしまうかもしれない」 「彼は最初に謝っていたが、それも重要なことだ。しかし彼はマシンに大きな自信を感じていると言っていた」 「彼は単に不意を突かれたのだろう。誰もが気温、特にこのような速度域でのアスカリ周辺のリヤタイヤの温度に苦しんでいた。それによってリヤが滑ったのだ」
Mark Mann-Bryans