「あそびば」―――ただ話したい、誰かと会いたい、誰でもぽっとこれる、いってみようかな、すごしてみようかな、と思える場所を
「公園と駄菓子屋さん」
子どもたちが幼かった2020年ころ、近所には安心して遊ばせることのできる公園がなく、恵さんは周りのお母さんたちと「公園欲しいね」とよく話していたといいます。 そこで「じゃあ、公園作ってみる?できるんじゃない?」と行動力のある恵さんは空き地探しを開始。様々な苦労を重ねて候補地を見つけましたが、あと一歩のところで法律の壁に阻まれて、公園を作ることはできませんでした。 「じゃあ、駄菓子屋さんはどうだろう」と、誰もが気軽に立ち寄れる場所で「そこに行けば誰かがいる」という公園を作りたかったもともとの目的を考えます。 「約束していなくても」「散歩に行っても」「こどもも大人も高齢者も」そこには誰かがいて、駄菓子屋のイスに座り「遊んでいる子どもを眺められる」というイメージが浮かんだ恵さん。 駄菓子屋さん開設を目指して、空き家探しが再び始まります。 「空き家はたくさんあるのに、なかなか貸してくれるところが見つかりませんでした」と、感染症の拡大期ということもあり「高齢者施設の一角を借りる」という案も難しかった当時。 そんなときに「公民館を使ってみたら?」と、紹介してくれる人に出会います。 それは2024年2月のことでした。 公民館を使うと決まってからは話が早く、どんどんやりたかったことを形にしていく恵さん。 「基本は放課後に子どもたちが立ち寄る居場所ですが、春にはいちご狩りと称して、室内にいちごをひもでつるして取るというイベントや、一日駄菓子屋さんごっこもやりました」
「趣味です」
恵さんが自分で駄菓子を仕入れたり、よその子どものために場所を開けてくれたりすることに「収支は大丈夫か」と心配してくれる人もいるそうです。しかし恵さんは「これは私の趣味」と返すといいます。 ボランティアということで「どうしてそこまでできるの?」と思われることも多かったそうですが「趣味です」というと、たいていの人は「そういうのが趣味の人もいるんだ」と納得してくれるとか。 「最初のころは、自分や我が子が病気になったときにオープンできないことへの対応に悩んだこともありました。しかし『とらわれなくていい』と自分が行けない日は休もうと思うようになり、何より『この活動は自分の趣味だから、趣味を人にお願いするのはおかしいよね』と思うことで一気に気が楽になり、今は無理せず楽しくできるようになった」と話します。 古い公民館で、あまりきれいすぎないところも活動しやすいと話す恵さん。 「ここに来たら子どもたちは好きに過ごしてもらいたいです。宿題もするし、おやつもある。ここに来れば誰かがいると思ってもらいたいです」 毎週水曜日の放課後時間の解放と、たまの日曜日に不定期イベントを開催していますが、流れに沿って活動していくうちに変わるかもしれないと話してくれました。