「アート・バーゼル・パリ」開幕。国際化の次なる展望は?
アール・デコ建築に集うアート界 天候にも恵まれた初日。新装グラン・パレとその向かいにあるプチ・パレのあいだの通りには車が走っていない。そのかわり、屋外彫刻やカフェと軽食が取れるスタンドが複数出ており、待ち合わせや休憩に活用されている。小さな変化だが、約4年と4億6600万ユーロ(*1)をかけた改装でその美しさを取り戻した身廊につながる正面玄関前が歩行者天国となり、フェアのトーク会場にもなっているプチ・パレと自由に行き来きできるのは優雅だ。 ハイヤーは地下鉄駅と反対のセーヌ河岸側に寄せ、館内への入り口も複数あり入場がスムーズで、車道沿いに人が滞留しないことでテロに対する安心感もある。今年はヴェネチアやリヨンで開催中のビエンナーレ、フリーズ・ロンドンにも訪れてからパリに来たという来場者も多い。同時期に開催されているオルタナティブなフェアも、アジア・アフリカ諸国からの表現に特化しているものを含め年数を重ねてきており、グローバルサウス、女性アーティストを包括する動きがさらに広がっている。パリ五輪の影響でチュイルリー公園での屋外展示はないが、例年通り市内の主要美術館や広場と連動したプログラムも多数ある。 去年までのグラン・パリ・エフェメール、改修前のグラン・パレに比べても館内で使用できる面積が増えた。そのため、各ブースサイズをやや拡張しながらギャラリー数も前年比で41増え、195ギャラリーが42ヶ国から参加している(前年は33ヶ国)。うち4分の1以上の53ギャラリーが初出展(うち26が「メイン」部門での出展)、フランスにスペースを持つギャラリーは64にもおよぶことは、ブレグジット以降アートギャラリーのパリ進出が今年も続いていることを示している。グラン・パレで以前設けられていたデザイン部門は、同時期だが別会場での開催となった。
文・写真(表記のあるもの以外)=飯田真実