正倉院宝物をモチーフにした作品作りや展示会、箱の絵付けや消しゴム版画…奈良
奈良市の奈良国立博物館で開催中の「第76回正倉院展」に合わせて、正倉院宝物をモチーフにした作品作りや展示会が同市内で催されている。 「鹿草木夾纈屏風」を再現した消しゴム版画作品(奈良市で)
陶器販売店にカフェを併設する「春日野窯」では、金銀泥で装飾された献物用の木箱「碧地金銀絵箱(へきじきんぎんえのはこ)」を模し、アクリル絵の具で絵付けして紙製の箱を完成させる体験を10月に始めた。
主宰する陶芸家の中野則子さん(66)は、鹿児島から奈良にUターンして2014年に同店を開業。正倉院展で宝物に魅せられ、18年から店での皿の絵付け体験に正倉院文様を取り入れた。
今回始めた箱の絵付けでは、実物より小ぶりで鮮やかな青緑色の箱を特注。鳥や草花の精緻(せいち)な文様を再構成した下絵に、塗り絵感覚で着色してもらう。「文様を描く癒やしや祈りの時間を通じて、奈良の良さを再認識してほしい」と話す。営業は金~月曜日、体験は要予約で、同店(0742・23・3557)へ。
消しゴム版画作家・小寺慧さん(36)の作品展「或(あ)る倉の宝物。」が、「カフェ&ギャラリー メカブ」で開かれ、宝物をモチーフにした版画や下絵などが並ぶ。
今回出展の「鹿草木夾纈屏風(しかくさききょうけちのびょうぶ)」の版画は、実物の染織品が作られた当時の色合いを想像して全体のトーンを調整しつつ、色の境目のぼやけ方を再現した。ガラス製の「碧瑠璃魚形(へきるりのうおがた)」などの作品もある。小寺さんは「作品と見比べ、実物の宝物の鑑賞をさらに楽しんでほしい」と話している。
30日まで、日~火曜日と祝日定休。問い合わせはメカブ(080・6022・1985)。