「今販売中のSUVタイプのPHEVでは、最も優れたハンドリングを持つと言い切っておく」マイナーチェンジした三菱アウトランダーに国沢光宏が試乗! まるでラリー車みたいだ!!
価格と性能の総合バランスは世界一!
見た目よりも、走りに関わる部分で大きな進化を遂げた、現行型発売以来、好調な販売を記録する三菱の大黒柱の出来栄えは? モータージャーナリストの国沢光宏がリポートする。 【写真58枚】大幅マイナーチェンジしたアウトランダーPHEV 変わったのは見えないところばかりだけれど写真は見たい! ◆パワーユニットの大幅改良 現時点で総合バランスは世界一優れていると思われる三菱アウトランダーPHEVが、パワーユニットの大幅な改良を行った。ちなみに何をもってして総合バランスかといえば、価格と性能、ハイブリッド・モードでの燃費、電気自動車航続距離、そして耐久性&信頼性である。客観的に評価すると、それぞれの項目でアウトランダーPHEVを凌ぐモデルこそあるも、全体で見たら厳しい。 今回の改良で一段と総合点は高くなったと思う。以下、しっかり紹介したい。興味深いことに今までアウトランダーPHEVはエンジン車の「最高出力」に相当する「システム出力」を公表していなかった。PHEVのシステム出力とはエンジン出力+電池から引き出せる出力の合計を示す。変更前は約250馬力だったそうな。新型になり約300馬力にパワーアップしたという! エンジン出力は従来型と同じ133馬力なので、バッテリーから今までより50馬力も大きい170馬力も引き出しているワケ。カタログ・スペックだと20kWhから22.7kWhに容量上がっただけの電池に思えるが(カタログEV航続距離は106kmに伸びた)、40%も出力性能を向上させているのだった。開発担当者によると0-100km/h加速性能が10秒から8秒になったそうな。 試乗会は袖ケ浦サーキットで行われたため、遠慮なく全開加速してみる。従来型電池でもスタートダッシュは十分速かったけれど、80km/hくらいで加速感が弱まって行く。されど新型電池搭載モデルは100km/hを超えても気持ちよく加速していく。高速域を多用する欧州や、ここにきて突然売れ行き好調になってきたアメリカで通用する性能を目指したという。 今回の「進化」、見えないトコロばかり手を入れましたというから面白い! ランエボ(ランサー・エボリューション)の最終モデル(EVO10)の開発を手がけた技術者が新しいアウトランダーPHEVの走りを担当している。従来型アウトランダーPHEVだって良く曲がるし滑ってもコントローラブルだから十分楽しいと思っていたけれど、改良型は横滑りしながらもキチンと加速するようになってる! 上手にセッティングされたラリー車みたいだ。欧州の“違いのわかるユーザー”だって納得してくれることだろう。現時点で販売しているSUVタイプのPHEVでは最も優れたハンドリングを持つと言い切っておく。ここにきて輸入車ユーザーだった皆さんが日本車に入ってきている。 一段と総合点が高くなった新型アウトランダーPHEVにぜひ試乗してみて頂きたい。 文=国沢光宏 写真=三菱自動車 (ENGINE2024年12月号)
ENGINE編集部