大逆転でのナンバー1評価を勝ち取った、西武・武内夏暉はまだまだ伸びる
大学4年ではリーグ戦だけでなく日本代表として国際大会に出場
しかし細野がその後になかなか右肩上がりで成長できなかった一方で、武内は劇的にではないものの、着実なレベルアップを遂げることとなる。 3年春からは先発に定着すると、3年秋には4勝0敗でMVPを受賞。4年春は援護に恵まれなかったこともあって2勝3敗と負け越したものの、50回を投げて7四死球と制球力にはさらに磨きがかかり、4年秋には5勝2敗、防御率0.97と圧倒的な成績を残してベストナインに輝いたのだ。 最後のシーズンとなった4年秋で印象に残っているのがライバルとも言える細野と投げ合った10月11日の東洋大戦だ。 7本のヒットは許したもののすべて単打で最後までホームベースを踏ませず、1対0で完封勝利をマークした。この時のノートにはこう書かれている。 「リリースが安定し、特に右打者の内角にしっかり投げ切れるのが大きい。 110キロ台の大きいカーブで打者の目線を変え、130キロ台のスライダー、ツーシームはストレートと見分けがつかない。変化球の質、精度の高さは細野より確実に上。 (中略) 少し左打者の内角を狙って抜けるボールあり、甘く入るととらえられる。もう少し前に体重乗って、ボールの強さ出てくればより攻略困難になる」 メモにもあるように細かい部分で気になる点は残ったものの、この日の最速は150キロをマークしており、2年秋とはボールの力は大きくアップしていたことは間違いない。 また最終学年はリーグ戦だけでなく大学日本代表として国際大会にも出場しており、1年間フル回転で投げてきても大きく調子を落とさなかったのも高く評価されたポイントと言えるだろう。 プロ入り1年目の今シーズンも冒頭で触れたように年間を通じて安定した投球を見せており、大学時代の成長曲線を考えればまだまだここからレベルアップもする可能性も高い。 2年目となる来シーズンはさらに成績を伸ばして、タイトル争いに絡んでくることも期待したい。
TEXT=西尾典文