メガバンカーが知る〈日本の超富裕層〉の生態…「自宅はタワマン」「税金を嫌い海外移住」「クルマはフェラーリ」の虚実【元メガバンカー公認会計士が告白】
老後の年金を心配して頭を抱えている人が多くいる一方、日本には軽く数億円を超える資産を持つ人も少なくない。そんな富裕層のなかでも資産200億円超という「超富裕層」は、どのような日常を送っているのか。彼らと多くの接点を持ってきた、元メガバンカー勤務の公認会計士・税理士の岸田康雄氏がその実態を解説する。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
総資産200億円以上の超富裕層は、ほとんどが企業経営者
いまの中高年には聞き覚えがあるはずの「一億総中流」というワード。昭和40年代以降に行われた「国民生活に関する世論調査」の回答として、自身の生活水準を「中の中」としたものが最も多く、「上」あるいは「下」とする回答が合計で1割未満だったことが、このワードの根拠とされる。 ところが平成バブルの崩壊以降、国民生活は次第に二極化が進み、いまとなっては埋められない大きな差となっている。いわゆる「勝ち組」と「負け組」は、すでにまったく別次元の生活を送っているといっても過言ではない。 筆者も以前メガバンクに勤務していたが、そこでしばしば出会うのが、総資産10億円くらいの一般的な富裕層だ。彼らは親から不動産や金融資産を相続したケースが多い。一方で、総資産200億円以上の超富裕層になると、ほとんどが現役の企業経営者か、過去に企業経営者だった人々だ。 なかでも、親から承継した事業をM&Aで売却して老後生活を送る高齢者は、多額の現預金を持っていることから、金融機関では「ハイエンド」や「ウルトラ・ハイネット・ワース」と呼ばれている。
「日本に見切りをつけて海外移住」は本当か?
マスコミでは、貧しくなった日本に見切りをつけて超富裕層が海外移住…といった報道もなされているが、実際には、完全に移住するケースはそこまで多くない印象だ。理由は、海外に移住してしまうと国内に居住する子どもや孫と頻繁に会えなくなるため。資産を維持するためにそこまで振り切れる人は、まだ少数派なのだ。 だが一方で、海外移住には、相続税の節税になる側面もあるため、心惹かれている富裕層も多い。 子や孫と一緒に10年間、相続税ゼロの外国に住むことができれば、海外に持ち出した財産に相続税はかからなくなる。しかし、アメリカにも相続税は導入されており、「相続税ゼロ」を目的とした移住先となると、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、カナダなど、選択肢は限られてしまう。