全校生徒18人、生徒募集停止の措置命令...それでも和歌山南陵高校が新たに「レゲエ校歌」をつくったワケ
横川は制作までの経緯をこう語る。 「7年前に酒を飲んだ時に、甲斐さんが『いつか理事長になる』と言っていたんですよ。『イエ~、なれなれ!』くらいのノリで校歌をつくる約束をしたんです。本当に理事長になって声をかけてくれたので、『絶対にやりたい』と言いました。僕もちょうどツアーをやったりしてWARSANさんやINFINITY16に力を借りていて。『仲間と一緒にやってもいいですか?』と、ファミリーのなかで一緒につくらせてもらいました」 和歌山大会は2回の攻撃開始前に両校の校歌が流れる。初戦である紀北農芸戦の2回、初めて和歌山南陵の校歌が場内に流れた。本来なら4分36秒ある楽曲を1分43秒に編集したものだ。 4対0で和歌山南陵が快勝した試合後にも、再び校歌が流れた。ホームベース付近で横並びに整列した選手たちは、晴れ晴れしい表情でレゲエ校歌を歌いあげた。 野球部主将の渡邊蓮に校歌について聞いてみると、こんな答えが返ってきた。 「最初に聞いた時は『えぇ?』みたいな反応だったんですけど、各自で歌う練習をしていくなかで『歌詞がめちゃくちゃいいわ』と気持ちよく歌えるようになりました。唯一無二の僕らにしかない校歌なので、歌えてよかったです。全国に広められるようにしていきたいですね」 1番打者として切り込み隊長を担う佐々木陸斗は、こう語っている。 「最初は校歌っぽくないなと思っていたんですけど、聞いていくうちに『自分たちのモノになる』と思ったんです。『一歩前へ』という歌詞が、僕たちの置かれた状況そのもので。10人だけで練習をやってきて、何回か折れてしまいそうになったんですけど、そのたびに10人で一歩前を向いてきたので」 【レゲエ論争にまで発展】 和歌山南陵の校歌はその物珍しさも手伝って、SNS上で瞬く間に拡散された。スポーツメディアだけでなく、テレビの情報番組やワイドショーまで取り上げるほどの注目度だった。もちろん、好意的な反応だけでなく、悪意に満ちた反響もあった。なかには「この校歌はレゲエなのか?」と音楽性に対する飛び火もあった。