「鼻からスプレー」の痛くないインフルエンザワクチンが2024年秋から接種可能に。効果は?接種年齢は?デメリットは?【小児科医】
小児のいろいろなワクチンが議論されています
経鼻ワクチン(フルミスト&reg)にかかわらず、痛みのないワクチンは、今後も開発が進む可能性が大いにあります。実際に、より痛みを感じにくい針や、また接種する部位に局所麻酔ができるような、麻酔シールのようなものも開発されています。いずれも、開発当初はまだ値段が高かったり、効果が一定でなかったりして、一般的なクリニックや医療機関では取り扱っていないことも多いですが、今後普及する可能性はあるでしょう。 またインフルエンザにかかわらず、より子どもをたくさんの感染症・重篤な合併症から守るためのワクチンの議論も進んでいます。たとえば、すでに0歳からの定期接種である肺炎球菌についても、現在は15価ですが、20価に引き上げられる可能性があります。肺炎球菌にはたくさんの種類があるのですが、今のワクチンではそのうち15種類だけカバーできており、それが20種類にまで増えるということです。20価になれば、肺炎球菌による中耳炎や髄膜炎(ずいまくえん)などがより防げることが期待されます。 RSウイルスについても「ニルセビマブ(商品名ベイフォータス&reg)」という新しいワクチン(モノクローナル抗体)が議論されています。現在はRSに対するワクチンというと「パリビズマブ(商品名シナジス&reg)」といって、早産児や心臓病など限られた条件の子どもが、月に1回打つものがあります。一方でニルセビマブは、健康な子も対象で、シーズン中に1回だけ打てばいいというものです。海外ではすでに使用されていますが、日本ではまだ定期接種にはなっていないため、数万円単位などの自己負担かつ限られた医療機関でしか接種できません。 日本はワクチン・ラグといって、海外の先進国では当たり前のように接種されているワクチンに対して、国が承認していなかったり、無料で接種できなかったりします。どんなワクチンにも副作用があり、怖いと感じる気持ちもあるでしょう。一方でワクチンを打つことによるメリットも証明されているからこそ、多くの国で承認されていたり、子どもが無料で接種できるようになっていたりします。 ネットサーフィンをしていると、つい心配な情報ばかり目についてしまいますが、厚生労働省や小児科学会、また医師が監修しているホームページなどを参考に、正しく知って判断していきたいですね。文・監修/白井沙良子先生 構成/たまひよONLINE編集部赤ちゃん・子どもを感染症から守るために大切な予防接種・ワクチン。つらい症状にならないために、そして重症化によって深刻な状態にならないために、正しい情報を手に入れて、適した時期に適した対応をすることが大切なようです。【参考文献】JAMA Pediatr 2018; 172:e181514.Caspard H, et al. Vaccine 2016; 34:77-82.感染症学雑誌 2015; 89:720-6. 監修者 白井沙良子 先生 PROFILE:慶應義塾大学医学部卒業後、総合病院に勤務。現在は小児科オンラインにて医療相談に携わりながら、小児科医として勤務中。まんが『はたらく細胞BABY』医療監修。5才と3才の男の子のママ。
たまひよ ONLINE編集部