【独自解説】『火星の石』は大阪・関西万博に“一石”を投じられるか?関係者からは「目玉ではない」の声も…カギは、人類にとって重要な惑星の“物語”を紡げるか―
一方で、万博関係者からは、「『火星の石』は目玉ではない」という声が聞かれました。万博に関する取材を様々進める中で、その背景には、「目玉にはなれない」事情があるのではないかと感じています。
これまで万博を巡っては、様々な“目玉になり得るもの”が紹介されてきました。 1つ目が、『空飛ぶクルマ』です。当初は、『2つの地点の間を、人を乗せて移動できる手段』として期待されていましたが、現状、万博で空飛ぶクルマを運航する予定の4つの事業者のうち2つの事業者はすでに、「客を乗せた運行は断念する」と発表しています。当初思い描いていた計画通りにはいかない状況になっています。 このほか、『大屋根リング』や『iPS細胞を使った動く心臓』などが、これまで目玉になると言われてきましたが、肝心のチケットの売り上げはというと、前売り券の販売目標1400万枚に対して、現状、約500万枚(2024年9月11日時点)と目標の4割未満にとどまっています。
この販売状況について、経済界の関係者に話を聞くと、「前売り券については、関西を拠点にする企業などを中心に経済界が約700万枚購入する意思を示していて、経済界からの購入は進んでいるが、一般の方からの購入が思うように進んでいないと思う。お金を払ってでも行きたいと思えるような展示が、まだ見えていないのではないか。また、PRも不十分ではないか」という指摘をしていました。
■「いかに“物語(ストーリー)”を伝えられるか」『火星の石』の役割とは―
2024年秋は“パビリオンなどで展示されるものが次々と発表される時期”といわれています。 ただ、今回“目玉”になるかもしれないと注目されている『火星の石』に関しても、国立極地研究所では、万博で展示されるものとは別のものにはなりますが、“火星の隕石”というのは、既に展示されています。 また、世界最大“級”とは言いますが、他の国では同じぐらいの大きさのものが既に発見されているということで、『火星の石』という“モノ”だけで「見に行きたいか」と言うと、それは人によって、意見が分かれる部分だと思います。
そんな中で大切になってくるのは、「物語」ではないかと感じています。「いかにその裏側にある“物語(ストーリー)”を伝えられるか」ということが、カギになるのではないかということです。 今回の万博は“未来社会の実験場”ともいわれています。先ほどお伝えしたように、『火星』は今後の人類にとって非常に重要な惑星だと考えられていますので、そのような裏側にある“物語”を伝えられるような展示を行い、「行ってみたい」と思える万博を形作っていくことが今後、重要になると思います。(『読売テレビ』平田博一記者) (「かんさい情報ネットten.」2024年9月17日放送)
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