【就職ランキング】金融業界への就職、女子大トップは? 卒業生の16%が業界へ
「明確な正解がない授業」
もともとは保護者や先生から言われたことをこなすタイプだったというSさんですが、東京女子大学で学ぶなかで、行動力が身についたといいます。 「私は国際社会学科コミュニティ構想専攻ですが、例えば4人でグループを組み、杉並区内の未活用地を発見して活用方法を考えるなど、実践的な授業がありました。考察した内容は企業にプレゼンをします。授業では、先生から大きなテーマは課されつつも、そこから先の調査内容、方法、プレゼン資料、企業へのアポイントなどは、すべて自分たちで行う必要がありました。『未活用地を有効利用する』というテーマを考えるためには、管理者、利用者、周辺に住む居住者など、さまざまな立場からメリットとデメリットを考えなければなりません。そのためには実際に現地へ行き、地元商店に地域の特性やニーズを聞いたり、企業の方に経営の課題を聞いたりして、情報を集める必要がありました。見知らぬ人や企業に声をかけたり、アポをとったりするのはなかなか度胸がいりますから、授業を通じて鍛えられたと感じています」 金融業界の課題はさまざまで、その解決法も一つではないことがほとんどです。東京女子大学キャリア・センター課長補佐の村石隆造さんは、金融業界に向いている人を「好奇心を持てる人、行動力がある人」と分析しています。 「幅広い業種・業界・企業に関わるのが金融機関です。それぞれの業界に対して興味を持ったうえで、実際に勉強するといった行動力も必要です。Sさんの所属するコミュニティ構想専攻は、『答えのない課題』に対して解決策を考えるカリキュラムが多くあり、現在の金融業界に求められる力を身につける土壌になっていると思います」(村石さん)
先輩の活躍が在学生にも影響
金融業界へ多くの人材を送り出している大学として有名なのが、一橋大学、早稲田大学、慶応義塾大学です。3大メガバンク(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行)、2大証券(野村證券、大和証券)とも、この3校の卒業生を多く採用しています。金融業界では信用が重視されるため、卒業生の活躍とその評価が学生の就活に影響を与えています。 とはいえ、ビジネスモデルが変化するなかで、全国の金融機関ではさまざまな大学からの採用が増えている傾向があります。「好奇心」「行動力」などを持ち合わせた、多様な学生が求められているといえるでしょう。
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